群雄割拠の沖縄旧盆「お供え物」界に新風!?「あの世のお金」や「先祖供養の場」がスイーツに


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本物のウチカビ(右)と本物そっくりの「うちかびスケット」(中央)、門中墓の屋根の形を模した「門中パン」(左)

 響くエイサーの音、線香の香り-。沖縄では28 日から旧盆が始まった。グソー(あの世)から帰ってきたご先祖様をもてなすため、仏壇には料理や果物などの供え物が所狭しと並べられる。

 そのお供え物は、沖縄独特の「重箱料理」だけでなく、いろんなごちそうを詰め込んだオードブルやケンタッキーフライドチキンなどのファストフード、コンビニエンスストアの商品などなど家庭によってさまざまだ。

 そのような群雄割拠の「お供え物」界に新風を起こすスイーツが加わった。その名も「うちかびスケット」と「門中パン」。グソ-のお金・ウチカビと、親戚一同が集まり先祖供養を行う門中墓が、おいしいスイーツになった。どちらも「お供え物にぴったり」と好評を博しているという。

 

 ウチカビそっくりのビスケットを考案・販売しているのは北谷町浜川にあるカフェ「六屯(ロットン)」。食べやすいよう大きさは本物のウチカビよりも一回り小さいが、均等に押された丸と菱形の銭の型といい形といい、本物そっくりだ。

 ウチカビを製造する読谷線香の公認を得て、同社がウチカビを束ねる帯そっくりの包装紙で巻いている。

 米粉やひよこ豆粉を配合したこだわりの生地づくりから成形、型押しまで全て手作業のため、製造できる枚数は1日30~50枚だという。店主のナックさんは「うちかびスケットで笑顔になってほしい」と呼びかけた。

 

 沖縄伝統の門中墓の屋根の形を模したパンに「金城家」や「山城家」と大きな字で名字が書かれている「門中パン」。那覇市真地にある識名霊園に囲まれたパン屋「いまいパン」が考案した。開発した今井あいこさんは「この立地だからこそ生まれたパン」と説明する。

 きなこ味のあんこがたっぷり入った柔らかいパンは、子どもからお年寄りまで好まれる味。今井さんは「ご先祖様も喜ぶ味。重箱と一緒に仏壇に供えてほしい」と笑顔を見せた。

 

 六屯、いまいパンともに予約販売に対応している。問い合わせは六屯はインスタグラムのメッセージで可能。「rotton8989」で検索。いまいパンは電話098(836)3008。

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