辺野古抗告訴訟 県、議案提出 年内にも国提訴


この記事を書いた人 田盛 良一

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、翁長雄志知事による埋め立て承認の取り消しを国土交通相が執行停止したことを受け、県は10日、この処分の無効化を求めて国を訴える抗告訴訟を起こす議決案と補正予算案を県議会に提出した。予算案は11日の県議会総務企画委員会、議決案は16日の米軍基地関係特別委員会で審議した後、18日の最終本会議に諮る。県議会は与党多数のため、予算案、議決案とも可決する見通し。県側は年内にも提訴する方向で作業を進めている。

 承認取り消しをめぐっては、国交相が県を提訴した代執行訴訟が今月2日に始まっている。ただ国交相がこれに先立って承認取り消しを執行停止したため、沖縄防衛局は代執行訴訟の間も工事を続けている。代執行訴訟は、最高裁判決までは半年以上を要するとみられている。
 一方、県側は抗告訴訟を起こすのに併せ、事案の重要性や緊急性を訴え、抗告訴訟の判決まで暫定的に工事を止める「執行停止の執行停止」命令も申し立てる。県はこの結論は提訴から1~2カ月の早い段階で出ると想定し、提訴を決めた。町田優知事公室長は10日、県議会への議案提出で「工事を止めることができるため、訴訟を提起する」と説明した。
 抗告訴訟に伴う補正予算案は1334万3千円。県によると弁護士費用などが含まれる。うち約400万円は旅費として算入している。県側は抗告訴訟を那覇地裁に提起する方針だが、国交相が被告のため、裁判所側が抗告訴訟を東京で行うと決めた場合に備えた費用だと説明している。