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「概算要求」って? 沖縄は独自制度、懸念される誤解とは<ニュースはじめの一歩>


「概算要求」って? 沖縄は独自制度、懸念される誤解とは<ニュースはじめの一歩>
この記事を書いた人 Avatar photo 呉俐君

Q 「概算要求」ってなんだろう?

A 2024年度の沖縄関係予算の概算要求が、2920億円と発表されました。概算要求とは、各省庁が来年度に行う政策のために必要なおおまかな予算を財務省に要求することです。

 8月末に提出され、年末に概算要求を基にした「当初予算」が決まります。地方自治体は、主な財源の地方税に加え「地方債」を発行して借入金を得ることもできます。それだけで財政を賄えない自治体は、不足分を補う形で国庫から使い道を限定しない「地方交付税」、使い道の決められた給付金「国庫支出金」を受けて地方財政を回しています。

 地方自治体は国庫支出金の給付を受けるため概算要求前に各省庁と折衝しますが、沖縄県はこうしたやり方ではなく、内閣府が県に代わって各省庁への国庫要請を一括して行う「一括計上方式」という独自の制度を採っています。

 沖縄県は太平洋戦争終結後の27年間、米施政権下に置かれ、経済成長が遅れるなど弊害を受けました。これらを解消するため沖縄振興特別措置法という法律が作られ、この法律に基づいた「沖縄振興」を効果的に進めるため採用されたのが一括計上方式でした。

 県の政策に予算を迅速に反映させられる利点がありますが、近年は国庫要請の場面で県の主体性が失われるなどの欠点も指摘されています。独自制度のため「沖縄が優遇されている」という誤解を生む要因でもあり、見直しを求める声も高まりつつあります。より良い制度の在り方を議論すべき時かもしれません。