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【識者談話】特別な土地としての対応でも良かった 石原昌家(沖縄国際大名誉教授)


【識者談話】特別な土地としての対応でも良かった 石原昌家(沖縄国際大名誉教授)
この記事を書いた人 Avatar photo 呉俐君

 

 沖縄県は11日、糸満市米須の鉱山開発のための農地転用許可通知書を申請者の沖縄土石工業に通知した。早ければ10月にも琉球石灰岩の搬出が始まる見通し。一方、沖縄戦の激戦地となった本島南部の土砂が名護市辺野古の新基地建設の埋め立てに使われる可能性があるとして市民団体らが反対し、業者へ許可を出さないように県へ求めてきた。今回の県の対応について、沖縄戦に詳しい沖縄国際大学名誉教授の石原昌家さんに見解を聞いた。

 沖縄戦の聞き取りを通じて、激戦地の南部一帯では、遺骨があちらこちらに散らばっていたと聞いた。至る所に遺骨があり得る状態だと思う。大きな遺骨は収集されているが、小さい骨まで含めて遺骨の全てが収集されることはないだろう。

 仮に、そういう場所の土砂を使って軍事基地を作るとすれば、戦争の犠牲となった人は二度殺されるも同然だ。人類史上でも前例のないような地上戦のあった沖縄の歴史を考えないといけない。

 20~30年前には、こういう問題は起こらなかったと思う。戦争の悲惨さを鮮明に記憶していた人々がだんだんと高齢化し、亡くなった人も多い。どんどん人がいなくなってしまうと、こういうことが起こる。

 平和の礎が、敵味方を関係なく名前を刻んでいるのは、それが戦場の跡を表すからだ。遺骨の代替物として、礎に個人の名前を刻むことで、戦争を二度としないという沖縄の思いを確固たるものとしている。それを踏まえれば、法律でこう決まっているからというだけでなく、地上戦の記憶を持つ特別な土地ということを考え特別な対応があっても良かったのではないか。