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フードロス問題に取り組む大学生の姿に触発 ナンポーが島豆腐の「おから」でビスケットを開発 健康志向に応え販売も「薬局」で


フードロス問題に取り組む大学生の姿に触発 ナンポーが島豆腐の「おから」でビスケットを開発 健康志向に応え販売も「薬局」で 琉球新報の記事をきっかけに商品化したおからを使ったナンポーの「たすと おからビスケット」
この記事を書いた人 琉球新報社

 菓子製造・販売のナンポー(那覇市、安里睦子社長)がこのほど、おからを使ったビスケット商品を開発した。琉球新報に掲載された、おから廃棄に悩む豆腐屋の課題やフードロス問題の解決に取り組む学生の姿に触発されたという。大豆に含まれる「タンパク質」に着目し、健康志向に応える製品作りにこだわった。食品表示基準を満たすため完成に1年余かかり、販売経路も「薬局」に設定することで商品力の強化を狙う。観光客向けから県民の健康志向に応える新たな分野への挑戦で事業拡大を目指す。

 商品は、島豆腐のおからを粉末にして使用。試作に苦労しながらも、タンパク質と食物繊維の含有量を明示できる基準に到達できた。口当たりが軽いザクザクした食感で、味はチーズと紅芋、シナモン、きなこの4種類。「たすと おからビスケット」の商品名で1袋5個入り税込み250円。ドラッグストアのヴァインドラッグ、すこやか薬局の全39店舗(一部は期間限定)などで販売を開始している。

 商品作りのきっかけはコロナ禍の2021年12月に掲載された、当時琉球大学4年生の崎濱花鈴さんと知念杏珠さんがおからを原料に可食スプーンを開発したことを紹介する記事。2人が豆腐屋を守りフードロス問題の解決に挑戦していたことを記事で知った安里社長は「これだけの製造環境がありながら何もできていなかった。学生が頑張っているのに情けないと思った」と振り返る。

「たすと おからビスケット」開発のきっかけとなった琉球新報掲載記事

 ただ当時はコロナの影響で経営が悪化し、厳しい状況に動けずにいた。それでも商品開発は続け、業績が回復してきた時期を見計らって商品化に踏み切った。おから粉末は記事に出ていた川上食品から仕入れている。

 安里社長は「学生(当時)が継続して活動している。私たちも諦めずにやっていきたい。取り組みが多くの事業者に波及していくことを期待したい」と力を込めた。

 (謝花史哲)

開発のきっかけとなった記事を紹介

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