沖縄県の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関して、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を承認するよう斉藤鉄夫国土交通相が県に求めた指示について、玉城デニー知事が4日、期限を迎えた承認指示に対して判断を示さない方針を固めたことが分かった。事実上の不承認と言え、国は5日にも代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起する見込み。
関係者によると、指示に先立つ国交相の勧告への対応と同様、期限内に承認することは困難として国交相に回答する方針。
玉城知事は2021年11月、沖縄防衛局の設計変更申請について、軟弱地盤の調査や環境保全措置が不十分なことを理由として、不承認と判断した。この処分を巡る訴訟で、今年9月の最高裁判決は県の訴えを退け、県敗訴が確定した。
玉城知事は4日の県議会代表質問で、県の埋め立て不承認処分について「技術的にも法律的にも正しいことを強く主張してきた」と改めて強調した。その上で、最高裁判所の判決は「県の主張について、何ら判断を示すことなく県の訴えを退けたものであり、極めて残念だ」と強く批判した。
今後、国の提訴により代執行訴訟に進む見込みだが、「県の勝ち目は極めて薄い」(県幹部)との見方が大勢を占める。県が敗訴すれば、裁判所は県に承認を命じ、県が応じない場合には国が県に代わって承認することで、大浦湾側での工事が着工されることになる。