辺野古取り消し、国が是正指示 県、係争委に不服訴えへ


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】石井啓一国交相は7日午後、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐり、翁長知事による埋め立て承認取り消し処分の是正を指示する文書を県に発送した。文書は8日にも県に到着する見通し。文書は翁長知事の埋め立て承認取り消し処分は違法だとし、県に対して15日までに埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めている。県は是正指示を受け入れない方針で、指示文書が到達した翌日から7日以内に指示を不服として国地方係争処理委員会に申し出る構えだ。国地方係争処理委員会が何らかの結論を出した時点で、移設をめぐって国と県との新たな訴訟に発展する可能性がある。

 県との間で成立した代執行訴訟の和解は是正指示を促す一方、「円満解決」に向けた県との協議を行うよう定めているが、協議の場は設定されていない。和解成立後、協議を経ずに是正指示を出したことで、国が新たな訴訟の判決を得る手続きを優先したことになり、名護市辺野古新基地建設を強行する姿勢が一層鮮明となった。
 是正指示文書は翁長知事の埋め立て承認取り消し処分が「地方自治法245条の7第1項に規定する都道府県の法廷受託事務の取消が法令に違反していると認められるときに当たる」などとし、処分の取り消しを求めている。
 一方、防衛省は7日、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分が不服として、沖縄防衛局長が「私人」の立場で国に申し出た審査請求と執行停止申し立てを取り下げた。これを受けて県は、審査庁の国交省から執行停止を解除したとの通知が届き次第、執行停止に対して起こした抗告訴訟を取り下げる。
 菅義偉官房長官は同日の記者会見で、是正指示を出したことについて「お互いに(和解条項で)確認したことであり、当然のことだ」と強調した。国と県との協議については「沖縄県側と進め方について協議し、速やかに実施していきたい」などと述べた。中谷元・防衛相は今月下旬にも県を訪問し、移設への理解を求める考えだ。
 是正指示を受け、県は同日、弁護団と対応を協議。来週にも国地方係争処理委員会に申し出る考えだ。
英文へ→National government orders Okinawa to reinstate permit, Okinawa to file objection with dispute committee