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「女の子なのに」無意識の偏見、大人がすり込んでいませんか? 県出身漫画家の大白さん ウェブ連載で問いかける 


「女の子なのに」無意識の偏見、大人がすり込んでいませんか? 県出身漫画家の大白さん ウェブ連載で問いかける  「みどりちゃん、あのね」のサムネイル画像(ウェブコミックメディア「路草」ウェブサイトより)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 10月11日は「国際ガールズデー」。女の子や若い女性の権利と地位向上の促進を広く国際社会に呼びかける日。SNSで反響を呼んでいるウェブ漫画「みどりちゃん、あのね」を通して「女の子なのに」「女の子だから」という性別による決めつけや、役割の固定化を大人が子どもにすり込んでいないかを考える。

 「みどりちゃん、あのね」は9月末にウェブコミックメディア「路草(みちくさ)」からウェブ配信された。野球が好きな小学生の静の視点を通して、祖父の一周忌のために都会から帰郷した叔母みどりと周囲とのやりとりが描かれる。

 作者は、沖縄出身の漫画家でイラストレーターの大白小蟹(おおしろ・こがに)さん(29)。この作品が初連載という。大白さんは、作品について「子ども時代の自分のために描いている」と思いを語った。

漫画「みどりちゃん、あのね」第1話で、居間で酒を飲む父や親戚たちに静が疑問を持つ場面(路草コミックス編集部提供)

 大白さんは、物語の舞台を「地方」とし、明確な場所を示していないが、沖縄と思わせる描き方が随所に見られる。11日現在までにプロローグと第1話までが公開されている。第1話では、祖父の一周忌で静の家に親族が集まる場面があり、女性は台所で料理をし、男性は居間で酒を飲んでいる。みどりがその様子に疑問を投げ掛け、静が放った一言をきっかけに、1人1人の行動に変化が現れるという展開だ。

 みどりは、台所で手伝いをしようとする静に「やらなくていい」と伝え、静の兄やいとこの男の子たちに自ら考えて手伝いに動いてもらおうと策を練る。その一方で、兄、叔父ら目上の人には、家族の集まる行事で女性の負担が大きいことに対して、これまで抱えてきた自分の気持ちをぶつける。

漫画「みどりちゃん、あのね」第1話でみどりが女性たちの負担を訴える場面(路草コミックス編集部提供)

 男性のスポーツという印象が強い野球に静が打ち込む姿や、みどりの母のせりふ「料理して子どもを産むのが女の仕事さ」などは、「女性なのに」「女性だから」という性別による決めつけ「無意識の偏見」を読む側に気付かせる。

 X(旧ツイッター)のSNSでは「これは泣ける」「沖縄だけでなく地方にはこういうの多い」「変わってもらえると信じているみどりさんがまぶしい」「そこからどうするのかを読む側に考えさせて行動させるパワーがある」などの感想とともにに広く拡散された。

 大白さんは琉球新報の取材にメッセージを寄せた。「女性に生まれた以上、不当な扱いを受けるのは仕方がない」というメッセージを言外で発し続ける社会や大人に対し、「本来ならば、そのような社会に辛抱強くNOと言い続けるのが大人の役割のはず。ひとりの大人として自分にできることを常に考えている」とつづった。

 「みどりちゃん、あのね」は、次のURLからアクセスできる。(https://michikusacomics.jp/product/midorichan)。

 大白小蟹(おおしろ・こがに) マンガ家・イラストレーター。1994年沖縄生まれ。2015年よりコミティアに参加しマンガや絵本の制作を行う。

大白小蟹さんのプロフィールサムネ画像(路草コミックス編集部提供)

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