【中部】武器搭載可能な無人機MQ9の米軍嘉手納基地配備計画が明らかになって2カ月が経過した。既に運用も始まり、離着陸を連日繰り返している。沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は、無人機へ対応で足並みがそろわず、方針を決めかねていたが、11日に沖縄防衛局に直接要請することが決まった。安心安全な運用などを求める見通しだ。運用が始まった中での要請について地元には対応の遅さを指摘し「三連協の役割が薄れている」と危惧する声がある。
「理解」「反対」「注視」でばらばら
防衛省が3市町に計画を説明した時点で、首長の受け止めに差があった。三連協会長で沖縄市の桑江朝千夫市長は、南西諸島の情勢から移駐に理解を示した。革新地盤である北谷町の渡久地政志町長は「基地負担の増大は受け入れがたい」と当初から反対を表明。嘉手納町の當山宏町長は「三連協として足並みをそろえる」との言葉にとどめ、注視する姿勢を取った。
いずれも国防の重要性を理解する一方、政治的立場の違いから防衛局への要請の文案調整が長引いた。運用は「国の専権事項」とする意見もあり、どこまで求めるかでも足踏みする状況になった。
桑江市長は4日の取材に「各市町で文案の内容に違いがあり、調整がうまくいっていない。市民に不安があるという事実は伝えたいが、どこまで求めていくか」と吐露していた。渡久地町長も文案調整が難航しているとした上で「政治スタンスは関係ない。基地周辺住民の負担を考え一致しようとしている」と強調した。
住民負担の阻止で一致、保革超えてきた歴史
これまで三連協は保革問わず、基地から派生する共通の問題について抗議要請してきた。1996年の三連協発足を呼びかけた当時の沖縄市長の新川秀清氏(86)は「これだけの基地負担の増大になぜすぐに行動しないのか」と首をかしげる。
三連協は普天間飛行場の一部機能の嘉手納移設計画が浮上したのをきっかけに、周辺自治体で連帯して反対しようと結成。3市町の行政と議会の6者で構成し、それぞれの基地渉外部局が事務局を担う。基地被害や機能の新設、配備増など住民負担につながる事柄に対応してきた。
新川氏は発足当時の首長、議長の構成メンバーについて「保守が多かったが、これ以上の基地負担は容認できないという強い思いを全員で共有していた」と振り返る。当時の沖縄市平和文化振興課長で事務局を務めた今郁義氏(77)も「保革関係なく動き、国にプレッシャーを与えた」とし、三連協の意義を強調する。
政府や米軍との交渉で周辺自治体が結束し、取り組みを継続することが重要になる。新川氏は「繰り返し続く基地被害を3市町で共有することが必要だ。住民を守るという原点を忘れないでほしい」と話した。(石井恵理菜、福田修平)