【東京】伊藤信太郎環境相は30日の閣議後会見で、沖縄県が求めている米軍基地周辺で高濃度で検出される有機フッ素化合物(PFAS)対策への財政支援について「政府全体として対応していく必要がある」との認識を示した。
林芳正官房長官が28日に玉城デニー知事、松川正則宜野湾市長との面談で「取り組みを進める」などと回答したことについて記者団から問われ答えた。
伊藤環境相は、林官房長官の発言について「承知している」とし、「知事の要望にある水道料金の値上げや県財政悪化の課題についても緊密に関係省庁と連携し、政府全体として対応していく必要がある」と述べた。
環境省が、宜野湾市喜友名の喜友名泉(チュンナーガー)で、PFASによる地下水汚染の防止技術の実証実験の準備を進めているとも明かし、「得られた知見を関係自治体などにも提供し、地域の皆さまの安全安心につなげたい」とした。
実証実験の結果について「PFASの曝露(ばくろ)防止対策の参考」として、3月末をめどに取りまとめる方針だという。
記者団からは、PFASのうち、PFOAとPFOSの2物質について、内閣府の食品安全委員会の作業部会が26日、人が1日に摂取する許容量の指標値を、現在の暫定指針値の検討で採用された数値と同じ水準に決定したことについても受け止めを問われた。
伊藤環境相は、環境省が行う指針値設定のための専門家会議について「開催を早めなければいけない」とし、2023年度内にも開く意向を示した。(安里洋輔)