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ビキニ水爆実験「文化に影響」 マーシャル諸島の現状語る 避難と帰還の連続 沖縄・那覇で講演


ビキニ水爆実験「文化に影響」 マーシャル諸島の現状語る 避難と帰還の連続 沖縄・那覇で講演 「3・1ビキニデー」で講演する北九州市立大学特任教員の中原聖乃さん=1日、那覇市古島の教育福祉会館
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 1954年に南太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で米国が水爆実験を行い、マグロはえ縄漁船「第五福竜丸」が被ばくした「ビキニ事件」から70年となった1日、「3・1ビキニデー 核廃絶を求める集い」が那覇市古島の教育福祉会館で開かれた。

 沖縄平和運動センターと県原爆被爆者協議会が主催。マーシャル諸島を研究している北九州市立大学の中原聖乃特任教員が、事件が地域の生活や文化に与えた影響を講演した。

 中原氏によると、周辺島民は事件後、米軍による無人島への移動(54年)、放射能汚染が残る故郷への帰還(57年)、再び無人島への自主避難(85年)と移住の連続だった。

 米軍側は「(どちらの島も)アイダホポテトそっくりみたい」と変化を過小評価していたが、島ごとに「毒魚」に違いがあり、植物の生育にも時間がかかる。そのなかで地域に根ざした食文化などが失われていった。中原氏は「放射能による健康被害や環境汚染だけではなく、文化に与えた影響が大きかった」と振り返った。

 ようやく文化を取り戻しつつあったが、温暖化による海面上昇という新たな試練に直面しているという。平和運動センターの幸地一共同代表は「沖縄の人々が翻弄(ほんろう)されているのと共通するものがある」と締めくくった。

(南彰)