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だれにもわたさないから/あさとよしや<琉球詩壇・3月8日>


社会
だれにもわたさないから/あさとよしや<琉球詩壇・3月8日>
この記事を書いた人 琉球新報社

うしなったものはもどらない
うしなったあとにいつもきづくものだけど
ゆずれないものはゆずらない
ゆずったあとにいつもこうかいするのだけど

だれにもわたさない
わたしはわたしのうみをすなはまをそらをくもをたいようをほしをきをもりをやまをかわをこどもたちをおじいをおばあをおかあさんをおとうさんをおとうとをいもうとをおにいちゃんをおねえちゃんをともだちをせんせいをまちをがっこうをとしょかんをはくぶつかんをびじゅつかんをはなをはなびをはるをなつをあきをふゆをことばをこころを
だれにもわたさない

うしなったものは にどともどらない
うしなったあとにいつもきづくものだ
ゆずれないものは もうゆずらない
ゆずったあとにこうかいするくらいなら

だれにもわたしたくないから
いつも きにかけている
だから あなたも わたしを きにかけて
わたしが あなたを きにかけるように
 (那覇市)

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<寸評>西原裕美・選

 ひらがなで表現されることで生々しさを感じさせる。詩のリズムがある。