有料

PCB長期保管は「危険」 米機関が指摘、基地から一時は移送 02~13年公文書 災害で流出懸念


PCB長期保管は「危険」 米機関が指摘、基地から一時は移送 02~13年公文書 災害で流出懸念 基地で掲揚されている日米の国旗
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 全国の米軍基地に人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む機器が残っている問題で、米国防総省が2002~13年に長期保管による流出などの危険性を認識していたことが7日までに米公文書で分かった。

 米国防兵たん局(DLA)が危険性を指摘し、一時期は米本国に廃棄物を持ち帰っていた。だが米軍は方針を変更し、現在はPCB廃棄物を基地内に残している。米軍は危険性を認識していながら問題を放置してきたことになる。

 日米両政府は現在、在日米軍基地に残されたPCB廃棄物の処分方法を協議している。県内では3月に新たなPCB廃棄物約280キロが確認されたが、処分できずにキャンプ・シュワブ内で保管している。防衛省は「法に基づき適切に管理している」と説明した。今後見つかった場合も、防衛省は処分方法が決まるまで各基地内で保管する方針を打ち出している。

 米国は国外からのPCB持ち込みを制限しており、在日米軍基地にあるPCB廃棄物を持ち帰る際は、米環境保護庁(EPA)に請願を出して認定を受ける必要がある。DLAはその請願書で保管が長引くと、人為的ミスや災害などで「米軍関係者や基地内・周辺に住む人々、周辺環境への暴露リスクが増す」と記している。

PCB含有機器の長期保管について危険性を指摘する項目のある文書

 保管容器が経年劣化することも指摘し、流出の恐れを警告した。日本国内では市民の生活圏が基地に極めて近接していることにも言及し、特に日本の基地で保管するリスクの高さを強調している。

 DLAはEPAの承認を得て3度に分けて廃棄物を米本国に送り返した。日本政府も国会などで米軍が本国に送り返すことで処分が進んでいると説明してきた。持ち帰りをやめた経緯は不明だが、一部は日本政府が引き取って処分してきたことが判明している。23年6月に廃棄物がまだ基地内に残っていて日本側が総量を把握できていないことを琉球新報が報道した。

(明真南斗、新垣若菜)