旬が来た!「どこにも負けないモズク」 収穫の最盛期、海人たちが奮闘【どローカルリポート】沖縄


旬が来た!「どこにも負けないモズク」 収穫の最盛期、海人たちが奮闘【どローカルリポート】沖縄 旬の採れ立てモズクを手に持つ玉城正和さん(左)と兄の明夫さん=うるま市の平敷屋漁港
この記事を書いた人 Avatar photo 高辻 浩之

 勝連半島の沖、青い海の浅瀬にはモズクの養殖場が広がる。3月ごろから始まったモズクの収穫は今月、ピークを迎えた。全国一の水揚げ量を誇り、県内シェアの約4割を占めるうるま市の勝連漁協は、旬の到来で活気づく。長年、家族でモズク生産を続ける玉城明夫さん(65)と弟の正和さん(60)は収穫作業に追われている。連日の潜水漁で疲労困ぱいの正和さんだが「生い茂ったモズクを見ると疲れを忘れる。自然相手で思い通りにいかないが、どこにも負けないモズクを作ってる」と自信をのぞかせる。

 モズク養殖は、夏場に陸上で種付けし網に定着させた後、冬場に網を海底に移動する。さらに収穫の数カ月前に、潮通しも日当たりも良好な場所に移動させ、網を張って成長を待つ。早摘みは2月から、通常は3月から5月にかけて収穫する。天候や海況に生育は左右され、海人らは試行錯誤を重ね、生産に励んでいる。

船上から見た黒々と成長したモズク=16日、うるま市の勝連半島沖

 玉城家は2人の父の久栄(きゅうえい)さん(88)から始まり、その孫と3世代で、約30年にわたり、モズク養殖に携わっている。網は幅1・5メートル、長さ20メートル。海底から数十センチの高さにカーペットのように張り巡らされ、潮に揺られる。

 海に潜った正和さんが船から伸びたホースを手に、手早くモズクを吸い上げていく。船上では明夫さんが選別や箱詰め作業に追われる。約4時間で1トン余りのモズクを水揚げした。明夫さんは「(今年は)モズクの成長はあんまりだが、質は上等」と太鼓判を押す。

収穫されたモズク=16日、うるま市の勝連半島沖

  2023年の勝連漁協のモズク生産量は7631トン(前年比934トン増)で、過去5年は平均7700トンで推移している。同漁協によると、勝連半島沖の養殖場では近年、貝類やナマコ等の生物が減少するなど環境の変化が見られ、漁業への影響が懸念されているという。漁協では専門家らの協力の下、環境保全に取り組むと共に、生産技術の向上を進め、モズクの可能性を追求していくとしている。

 正和さんは「次世代につなげていくためにも、おやじから受け継いだ技術や漁場を守っていきたい。海が好きだから」と日に焼けた顔がほろこんだ。

 (高辻浩之)

波に揺られるモズクを潜水して収穫する玉城正和さん=16日、うるま市の勝連半島沖