ヤンバルクイナの交通事故、増加傾向 4月時点で10件 繁殖期に対策強化へ


ヤンバルクイナの交通事故、増加傾向 4月時点で10件 繁殖期に対策強化へ 希少生物の交通事故対策などを話し合った国や県、やんばる地域の自治体、関係機関でつくる「やんばる地域ロードキル発生防止に関する連絡会議」=23日、国頭村保健センター
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 【国頭】国や県、やんばる地域の自治体、関係機関でつくる「やんばる地域ロードキル発生防止に関する連絡会議」が23日、国頭村保健センターで開かれた。環境省やんばる野生生物保護センターは、国指定天然記念物ヤンバルクイナの交通事故発生件数が今月20日時点で前年同期比3件増の10件となり、増加傾向にあることを報告した。各機関からロードキルを防ぐ方策などについて、報告があった。

 同センターによると、ヤンバルクイナの交通事故は、県道70号(国頭東線)で7件、国頭村与那と安田を結ぶ県道2号で2件、国道58号で1件発生した。自然保護官の椎野風香さんは「繁殖に入るのが早かったこともあり、事故の発生も早くなっている可能性もある。引き続き注視したい」と語った。昨年は、年間で43件と過去最多だった国指定天然記念物ケナガネズミの事故件数は、4月20日時点で前年同期比16件減の1件にとどまった。

 会議ではいずれも繁殖期に合わせ、5月はヤンバルクイナ、10月はケナガネズミの「STOP!ロードキル月間」として対策を強化する方針を確認した。沖縄総合事務局北部国道事務所はヤンバルクイナの道路進入防止柵(クイナフェンス)を改良していることを報告した。NPO法人どうぶつたちの病院沖縄は車をセンサーで感知し、クイナを道路から遠ざける「カーアラート」の開発に取り組んでいることを説明した。

 24年度から、ロードキルに関する講演会開催や、国頭村、大宜味村、東村の小中学生を対象に絵画コンクールも実施することが決まった。

 (池田哲平)