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「平和の種を伝えたい」50年の活動を一冊に 原水禁大会参加の全国高校生 沖縄の2人も寄稿


「平和の種を伝えたい」50年の活動を一冊に 原水禁大会参加の全国高校生 沖縄の2人も寄稿 1996年に沖縄で開催された「沖縄・全国高校生平和集会」。約500人が参加して始まった=那覇市の自治会館(1996年8月8日)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

【東京・沖縄】1974年、広島で開かれた原水爆禁止世界大会に高校生分散会が設置され、平和について学び交流する「第1回全国高校生平和集会」が開かれてから今年で50年の節目を迎えた。平和集会に参加した全国の高校生はそれぞれの地域で、自主的な平和学習サークル(高校生平和ゼミナール)をつくり、平和のために「学び、調べ、表現する」という学習と行動を展開してきた。このほど、50年のあゆみと活動の記録を一冊にまとめた書籍「核兵器と戦争のない世界をめざす高校生たち 平和集会・平和ゼミナールの50年」(高校生平和ゼミナール全国連絡センター編・大月書店発行)が出版された。

 高校生平和ゼミナールは、学校の枠を越え、核兵器をめぐる問題や基地問題、人権問題など社会問題に高校生らが目を向け、戦争体験者や被爆者からの体験を聞くなど、さまざまな視点から平和についての学びを重ねている。2021年には、東京の高校生が全国の高校生平和ゼミナールのメンバーに、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める」高校生署名を呼び掛けた。約1年で全国から1万筆以上を集め、22年8月に外務省で署名を手渡した。東京、埼玉、広島、沖縄の高校生らが参加した。

 沖縄で初めて「全国高校生平和集会」が開催されたのは1996年8月。当時、実行委員を務めた天久笑(えみ)さん(46)=県出身、千葉県在住=と松田佳苗さん(45)=県出身、神奈川県在住=の2人は、当時の思いや将来について書籍に寄稿している。寄稿にあたり2人は東京で再会し、当時の新聞記事などを読み返しながら記憶を掘り起こしたという。

発売予定の書籍「核兵器と戦争のない世界をめざす高校生たち 平和集会・平和ゼミナールの50年」

 天久さんは「本土の高校生が社会問題や基地問題などを真剣に話す姿に衝撃を受け、社会の課題に対して自分の言葉で意見を言えることに憧れた。直後から新聞を読み、社会問題などに興味を持った」と振り返った。

 松田さんは平和集会に参加して「平和の種」をもらった気がするという。「種は育てないと育たない。平和を考える上で対話を重ねることが種を成長させる大切なこと。子どもたちに平和の大切さを伝えていきたい」と語った。

 2021年に沖縄高校生平和ゼミナールを立ち上げ、23年3月に沖縄で高校生平和集会を開催した上原一路(ひろ)さん(19)=県出身、京都府在住=も寄稿した。「本土の人に沖縄のことを自分事として考えてもらいたい。同世代の若者に社会問題などに関心をもってほしい」と話した。

 高校生平和ゼミナール全国連絡センターの沖村民雄さんは「本書の発行を契機に高校生平和ゼミナール活動の新たな発展を期待したい」と将来を見据えた。書籍の問い合わせは大月書店、電話03(3813)4651。

  (中川廣江通信員)