琉球新報が衆院選候補者に実施した政策アンケートの2回目は沖縄振興策や経済振興の見解を紹介する。選挙区の候補者のうち、沖縄振興策の評価については自民の4氏が「大いに評価する」で一致した。「オール沖縄」陣営の3氏や無所属元職、維新、参政の新人ら計9氏が「一定程度評価する」と回答。「大いに」と「一定程度」を合わせると、立候補者の8割以上が評価する考えを示した。一方で、立民前職は「あまり評価しない」、れいわ新人は「評価しない」との考えを示した。 (’24衆院選取材班)
2区
安定的な沖縄振興のために目指す「自立型経済」の構築に向け、2区の候補者らはそれぞれ独自の施策を打ち出している。
今野麻美氏=参政=は「自立型経済は自立した人によって作られる。子どもや若者に郷土愛を持ってもらう教育をすることが重要」と主張した。
宮崎政久氏=自民=は「観光業強化は当然としてそれを補完する産業の育成が必要。創薬事業やスタートアップなどを強化すべきだ」と訴えた。
赤嶺昇氏=維新=は「沖縄を単独自治州とした道州制により、沖縄から空路4時間圏内の20億人の市場を取り込んだ経済成長」と掲げた。
新垣邦男氏=社民=は「観光、IT、6次産業化した農水産業、製造業、物流システム整備などを振興し、アジアと関係を強化する」とした。
<回答全文>
今野麻美氏 | 宮崎政久氏 | 赤嶺昇氏 | 新垣邦男氏 | |
1.これまでの沖縄振興についての評価 | 一定程度評価する(B) | 大いに評価する(A) | 一定程度評価する(B) | 一定程度評価する(B) |
理由 | 沖縄振興は、本土復帰が遅れた格差是正を出発点とし、今日の沖縄の発展を導いたものであり、大いに評価すべきだ。一方で県民所得の低さや子どもの貧困問題など解決すべき問題も残っており、今後は人材育成を重視し、日本をリードする振興策を考えるべきだ。 | 社会インフラや産業基盤は、ある程度整備されたが、人財への投資がまだまだ足りない。 | 第5次から計画の策定主体が県に移り、自由度の高い一括交付金制度も創設され、鉄軌道を除くインフラ整備はある程度進んだ。しかし「県経済の最大の阻害要因」である基地が、依然として低い県民所得や子どもの貧困の要因となっている。沖縄振興は道半ばだ。 | |
2.これから沖縄で注力すべき産業分野(3つ) | 農業、水産業、バイオ・健康産業(A,B,D) | 観光産業、バイオ・健康産業、IT(C,D,K) | 観光産業、製造業、エネルギー(C,I,O) | 観光産業、物流、IT(C,F,K) |
3.観光振興のために必要な方策について考え方に近いもの(3つ) | 通勤、退勤時の渋滞対策、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助、その他:農業と観光を合わせたアグリツーリズムの推進(A,L,M) | 通勤、退勤時の渋滞対策、二次交通の整備、スポーツツーリズムの推進、大会誘致(A,B,E) | 二次交通の整備、スポーツツーリズムの推進、大会誘致、オーバーツーリズム対策(観光客の年間を通しての平準化など)(B,E,I) | 二次交通の整備、観光人材の人手不足対策、オーバーツーリズム対策(観光客の年間を通しての平準化など)(B,C,I) |
4.沖縄振興で目指す「自立型経済」を達成するために必要な施策について | 自立型経済を支えるのは自立した人によって生み出されるので、時間がかかるが子供達や若者に地域の課題を考え、郷土愛を育む教育をしていく事が大切。また、農業において種を自家採取できるようにし、肥料等も国内生産するなど、循環する仕組みを守る。 | 屋台骨の観光業の強化は当然だが、観光業は景気に影響されるため、それを補完し得る産業の育成が必要だ。琉球大学病院や海軍病院が中心とする国際医療拠点としての強化やOISTなどによる創薬事業やスタートアップ支援等を強化すべきだ。 | 道州制(沖縄を単独自治州)により、沖縄から空路4時間20億人の市場の取り込みによる経済成長。 | 観光、IT、6次産業化した農水産業、製造業、鉄軌道を含む物流システムを整備し、移輸出産業を振興し、アジアとの関係をさらに強化する。県内企業がお金を「稼ぐ力」を身につけ、生産性向上、雇用創出と賃金向上の好循環を生み出し、域内経済循環を高める。 |
5.1人当たり県民所得向上に向けて最も重要だと思うもの | その他:減税と積極財政により国内でお金の回る仕組みにする。(F) | その他:経済成長と生産性向上による企業利益の拡大と、その利益の賃上げによる再配分(F) | 労働者の賃上げ(利益の再分配)(A) | 企業の稼ぐ力の向上(B) |
6.将来的な賞税率についての考え方。引き上げ、引き下げを図る場合はどの程度の税率が妥当か。 | 将来的に消費税を廃止(D) | 現状維持(C) | 引き下げを検討するべき、5%(B) | 将来的に消費税を廃止(D) |
理由 | 消費税が明らかに景気の上昇の腰を折り、可処分所得を下げ、日本人を貧乏にし、失われた30年を作った原因の一つであるので、消費税は廃止すべきである。 | まずやるべきことは、生産性の向上による経済成長による税収のアップだ。日本の労働生産性はOECD加盟38カ国中30位と順位を落としているが、人への投資を充実することにより改善可能だ。厚生労働省としても人への投資を加速化する政策を行っている。 | 経済の好循環を図る必要がある。 | 物価高で疲弊する暮らしの再建のため、消費税は税率を当面ゼロにする。導入時に社会保障財源とされた消費税増税分の多くは、企業減税や富裕層の減税の穴埋めなどの目的外に使用されている。逆進性が高い消費税の減税で、幅広い消費者に恩恵が行き渡る。 |
7.解雇規制の緩和について | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) |
<比例・回答全文>
金城泰邦氏 | 島袋恵祐氏 | |
1.これまでの沖縄振興についての評価 | 一定程度評価する(B) | あまり評価しない(C) |
理由 | 記述なし | 社会資本整備などでは一定の成果を上げているが、県民所得は全国平均の7割にとどまっている。子供の貧困も依然深刻だ。政府が発注する事業の多くを本土の企業が受注していることも問題だ。政府が基地と振興をリンクさせていることは許されない。 |
2.これから沖縄で注力すべき産業分野(3つ) | 観光産業、その他(農水産業、建設産業)(C,P) | 農業、水産業、観光産業(A,B,C) |
3.観光振興のために必要な方策について考え方に近いもの(3つ) | 観光人材の人手不足、海外客へのセールス(国際線の復便、新規就航、クルーズ船の誘致) 、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助(C,J,L) | 通勤、退勤時の渋滞対策、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助、その他: 観光産業従業者の待遇改善(A,L,M) |
4.沖縄振興で目指す「自立型経済」を達成するために必要な施策について | 富裕層向け観光パッケージの確立と観光人材の育成。農水産業の生産性向上と離島の不利性解消施策。情報通信関連産業の拡大による雇用創出や投資拡大。 | 農畜漁業や観光産業、地場産業を支援し、その人材を育てることで、雇用創出と経済循環を進める。公共事業の地元優先発注の仕組みをつくり、公契約法の制定、正規雇用促進、非正規労働者の待遇改善、中小企業支援と一体の最賃アップで県民所得を向上させる。 |
5.1人当たり県民所得向上に向けて最も重要だと思うもの | その他:上記①~⑤全て重要(F) | 労働者の賃上げ(利益の再分配)(A) |
6.将来的な賞税率についての考え方。引き上げ、引き下げを図る場合はどの程度の税率が妥当か。 | 現状維持(C) | 将来的に消費税を廃止(D) |
理由 | 記述なし | 自公政権による消費税の引き上げにより国民の負担は増加し、コロナ禍や物価高と合わせ何重にも苦しめられている。政府は社会保障の財源だと言いながら、実際には大企業の減税の穴埋めとなってきた。ただちに税率を5%に引き下げ、将来的には廃止する。 |
7.解雇規制の緩和について | 無回答 | 緩和に反対。現状の維持(B) |