違法確認訴訟の高裁判決は、一言で言えば国の主張をなぞっているだけで、裁判所の見識が感じられない。
普天間か辺野古かという二者択一を沖縄が迫られるいわれはないが、その不条理を自明の前提とした上で県の違法性を指摘している。
最も理不尽だと感じたのは、他の都道府県知事が埋め立て承認を拒否した場合、地方公共団体の判断が国の判断に優越することになりかねないという記述だ。沖縄だけに理不尽な選択を迫っておいて、他の県が沖縄のまねをしたら、国の国防・外交は破綻するから沖縄は文句を言うなと言っているようなものだ。
他の多くの地方公共団体ができないということであれば、いくら防衛・外交分野の事柄であっても国はできないし、やるべきではないことだ。
承認取り消しと埋め立てた場合の利益を比べたということだが、国の主張はさらっと認められている。しかし、なぜ取り消しが日米の信頼関係を破壊し、国際社会の信頼を失うことになるのかといった点は深められていない。
県側の主張を一顧だにせず、埋め立ての必要性などについては、非常にずさんな実体的判断をしている。何とも奇妙きてれつな判決と言わなければいけない。(政治学)