沖縄県の翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で県は3日、上告理由書と上告受理申立理由書を福岡高裁那覇支部に提出した。憲法違反を問う上告理由書で県は、過重な基地負担の実態がある中で新基地建設を行うことは自治権を侵害すると改めて主張。新基地が普天間飛行場の面積の半分以下などとして負担軽減につながるとした高裁那覇支部判決の論理を「へ理屈の類い」と批判し、同判決には地方自治を保障した憲法92条の解釈などに誤りがあるとした。
法令違反などを問う上告受理申立書では、高裁那覇支部判決に新基地の必要性・合理性や環境保全策などの観点から埋め立ての要件を定める公有水面埋立法の解釈に誤りがあると主張。国の「是正の指示」に従わなかったことは違法な「不作為」ではないとした県の主張を高裁が退けたことなどから、地方自治体への国の関与の手続きなどを定めた地方自治法上も誤った法解釈があるとした。
行政処分の自庁取り消しを制限する「取り消し制限の法理」が、今回の承認取り消しにも適用されるとの判断を導き出した同判決の論理展開にも、最高裁判例違反などがあるとも指摘した。
今後、最高裁が書面を審議した上で、審理に入るのかについて判断する。書面提出後、県弁護団長の竹下勇夫弁護士は「地方自治法の解釈として判例がないところが今回の訴訟にはある。判決には最高裁判例と異なる部分があるので、最高裁はまず受理してくれるのではないかと期待している」と述べた。
沖縄県は承認取り消しを違法だとした高裁那覇支部判決を不服として、9月23日に上告していた。
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