「辺野古」続く工事中断、移設は不透明 承認取り消し1年


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、翁長雄志知事が前知事による埋め立て承認を取り消してから、13日で1年を迎える。県と国は、1995年の代理署名訴訟から20年ぶりに基地問題を巡る法廷闘争に入っている。政府は当初、国土交通相が承認取り消しの効力を執行停止して工事を続行したが、2015年12月2日に始まった辺野古代執行訴訟の和解を受け、16年3月4日から工事を中断している。ただ政府は和解後に改めて起こした不作為の違法確認訴訟で勝訴が確定した場合は工事を再開する方針。対する知事は「あらゆる手法」で工事を阻止する姿勢で、移設問題の先行きは不透明だ。

 不作為の違法確認訴訟では福岡高裁那覇支部が9月16日、翁長知事の取り消しは「違法」とする判決を出した。判決は「普天間飛行場の被害を除去するには本件新施設等を建設する以外にない。本件新施設等の建設をやめるには普天間飛行場による被害を継続するしかない」とし、「辺野古が唯一の解決策」とする国の主張を全面的に認めた。県は9月23日、最高裁に上告した。

 取り消しに先立ち翁長知事は、15年1月に環境や法律の専門家で構成し、前知事の承認手続きを検証する第三者委員会を設置。半年の検証を経て、委員会が7月16日に承認手続きに「瑕疵(かし)があった」と答申したことを受け、知事は10月13日に承認を取り消した。

 承認取り消しの15日後に国交相が取り消しの効力を執行停止した際、政府は「私人」の権利保護を主目的とする行政不服審査法に基づく手続きだと説明した。

埋め立て本体工事に着手した米軍キャンプ・シュワブと大浦湾=2015年10月29日、名護市辺野古上空