県史「沖縄戦」新刊 43年ぶり 最新研究網羅


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県教育委員会が刊行した「沖縄県史各論編6 沖縄戦」

 沖縄県教育委員会は、新県史編集事業として「沖縄県史各論編6 沖縄戦」を10日に刊行し、29日に県教育庁で記者会見した。沖縄戦に至る背景や各地の沖縄戦、住民の証言や「集団自決」(強制集団死)など沖縄戦の諸相、戦後処理や平和教育など継承までをまとめた。また「障がい者」や「戦争トラウマ」「ハンセン病」などの分野にも光を当てた。会見で新沖縄県史編集専門部会(沖縄戦)部会長の吉浜忍沖縄国際大教授は「現時点での沖縄戦研究の集大成だ」と述べた。

 沖縄戦関係を県史で扱うのは1971年から74年にかけ発刊された「沖縄縣史第八巻 沖縄戦通史」など以来で、74年からは43年ぶり。B5判、824ページのオールカラー。5部構成で37人の研究者による72編の論述からなる。

 編集に当たっては(1)最新の沖縄戦研究の成果を踏まえる(2)県史、市町村・字史の蓄積と成果を踏まえる(3)住民視点・証言を大事にする―との視点で論述され、若手研究者にも執筆を依頼し、沖縄戦研究を次世代につなぐとしている。

 吉浜氏は「40年前は住民証言が中心だったが、日米両軍の資料も重ねながら史実としてまとめた。戦争を知らない世代に理解してもらいたい」と述べた。1500冊が県立図書館や各学校などに配布されるほか、300部が1冊5千円で4月1日から販売される。3月29日から県教委のホームページで予約できる。問い合わせは県教育庁文化財課史料編集班(電話)098(888)3939。

英文へ→For the first time in 43 years, a collection of new research on the Battle of Okinawa published