川田沖縄大使「辺野古、県民のため」 沖縄県議会の普天間停止要請に


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川田司外務省沖縄担当大使

 川田司外務省沖縄担当大使は30日、米軍普天間飛行場の5年内運用停止を要請するため訪れた県議団に対し、政府が対米交渉をしたかは「私も知らない」とし、「(辺野古移設が)県民のためになると思っている」と述べた。沖縄の基地負担については「沖縄経済の4兆円の所得のうち2兆円は本土からの移転経費だ」と、基地負担の見返りに経費が入っているかのように反論した。1995年の米兵による少女乱暴事件を受け、基地問題で「地元の意見を聞く」ために設置された沖縄担当大使の対応に、県議会の仲宗根悟米軍基地関係特別委員長は要請後、「歴代大使の中でも最も無責任な発言ではないか。自らの役割を認識してほしい」と述べた。

 要請は県議会が29日に可決した米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止を求める意見書を手交するために行われた。意見書は野党自民や中立の維新や公明を含む全会一致で可決した。

 運用停止について川田氏は見解を問われ、「これは私の役目ではない。私の役目は皆さんの要望を外務大臣に伝えることだ」と応じた。政府は5年以内の運用停止で米国と交渉したのか問われ、「私も知らない」と述べた。県議団が「沖縄の重大な政治案件だ。あなたの役目ではないのか」と質問したのに対し、「なんであなたが決めるんですか」「そういう議論をしても仕方ない」と述べた。

 2013年12月に名護市辺野古の埋め立て承認をした仲井真弘多前知事自身が当時、政府は普天間の5年以内運用停止と辺野古移設の進捗(しんちょく)を切り離して進めると理解していると説明していた点を指摘され、川田氏は「いや、それは全部一緒だ」と述べた。その上で「当時の仲井真さんの話にしても、SACO(日米特別行動委員会)合意を基本にした話だ。それ以上のことはできない」と言い切った。

 政府は当初、知事選を控えた仲井真氏と歩調をそろえ、辺野古移設の進捗とは切り離し、「全国の協力」を得て普天間の運用停止を目指すと説明していた。だが辺野古移設に反対する翁長雄志県政の発足後、「県の協力」がなければ運用停止は難しいとの見解に転じている。