基地派生の問題報告 サンフランシスコでシンポ 環境、人権で議論


この記事を書いた人 琉球新報社

 【サンフランシスコ=座波幸代本紙特派員】辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議の第2次訪米団(団長・伊波洋一参院議員)は22日、サンフランシスコ州立大でシンポジウムを開いた。名護市辺野古への新基地建設計画や東村高江でのヘリパッド建設問題をはじめ、環境問題や米兵による性犯罪、人権など、米軍基地から派生するさまざまな問題を発信。暮らしや民主主義を守るために、国際的な運動と連携していくことを確認した。

米軍基地を巡る問題を学び、沖縄の人々の暮らしや人権、環境を守ろうと議論を深める参加者ら=22日、米サンフランシスコ州立大学

 「地域と国際的な闘いをつなげるために」と題したシンポには、研究者や草の根運動を続ける関係者ら約40人が参加。

 訪米団の環境、政治、労働団体、若者、人権の5チームのメンバーは、辺野古・高江での新基地建設計画中止に向けた抗議運動や県民の反対を無視する日米両政府の対応、基地が及ぼす経済への影響などを発信。分科会でも議論を深めた。

 琉球大3年の小禄隆司さんは琉球・沖縄の歴史や先住民族の権利を訴える国連の動きを紹介し、「ネイティブ・アメリカンがその土地を大事に思うように、海を埋め立てることは私たちのアイデンティティーを脅かす」と語った。

 宜野湾高教諭の宮城千恵さんは、オスプレイなど米軍機の騒音や昨年起きた米軍属女性暴行殺人事件などを挙げながら戦争や暴力につながる基地の撤去を訴え、「私たちは戦争を止めたい。『命どぅ宝』。命こそ大事な宝物、という思いを広げたい」と語った。

 統一連の穴井輝明氏は、基地返還後に経済発展を遂げた那覇新都心の事例を紹介。桜井国俊沖縄大名誉教授は辺野古の埋め立て計画の影響や世界自然遺産登録に向けたやんばるの豊かな森について紹介した。

 同大のレイチェル・ブリヘンスキー准教授(都市問題)は「軍事主義は巨大だが一部の地域に限らず、グローバルな問題。沖縄の皆さんの行動に勇気づけられている」と述べた。