生物移植、新たに申請へ 辺野古新基地建設 防衛省、入域制限浮具も追加


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 【東京】防衛省は5日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、周辺環境への影響を検討する環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)の第10回会合を同省内で開いた。埋め立て予定の海域に生息する底生生物や海藻を保護するため、移植手続きに必要な特別採捕許可を沖縄県に新たに申請すると明らかにした。同時に辺野古側の臨時制限区域を明示する浮具(フロート)を追加で3800メートル、固定するための重り79個を設置する。

 委員会終了後、沖縄防衛局が記者団に説明した。

 参加委員から委員会の趣旨は基地建設の賛否を示すものではなく、工事実施を前提に環境面での指導・助言を行うとの認識が改めて示された。

 特別採捕許可を申請するのは巻き貝や甲殻類などの底生生物と海藻「ウミボッス」。これまで素潜りで移植していたが、今後は深場で空気ボンベなど機材を使用するため県の許可を得る必要がある。

 また、11月に見つかった、環境省が策定した海洋生物の絶滅危惧種のリスト「レッドリスト」に掲載されている希少なサンゴ10群体についても特別採捕許可を申請するとした。

 防衛局は10月、レッドリスト掲載のサンゴ1群体の特別採捕許可を県に申請したが、新基地建設に反対する翁長雄志知事は慎重に審査している。そのため、今後も審査に時間を要し、工事の進行に影響が出る可能性もある。

 新たな浮具の設置は埋め立て予定地の南側部分。現在は作業区域周辺に設置されているが、範囲を臨時制限区域まで広げる。固定するために870キロアンカー36個、600キロアンカー8個、560キロアンカー7個、30キロアンカー28個の計79個を使用するとした。