東南アジアで高め合う 飲食事業とラーメン店 神里兄弟それぞれ独立、さらに展開


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 【豊見城】豊見城市出身の神里賢蔵さん(29)、正蔵さん(26)の兄弟が、東南アジアでそれぞれの飲食店事業を拡大させている。マレーシアを拠点に4カ国で飲食店11店舗を経営する賢蔵さんは「国をまたいだ仕事にはたくさんの刺激がある。もっと組織力を高めて店舗を増やしたい」と意欲を見せる。また、マレーシアで自身のラーメン店「麺屋獅子道」を営む正蔵さんも「人一倍努力したと自負している。もっと挑戦を続けたい」と、さらに上のステージを見据えている。

(右から)マレーシアなど4カ国で11店舗の飲食店を営む神里賢蔵さん クアラルンプールでラーメン店「麺屋獅子道」を経営する神里正蔵さん

 飲食店業界に最初に進んだのは弟の正蔵さんだ。「金持ちになるためにできることを考えた」と、東京都の有名ラーメン店で2年間の修業を経験。2012年、同じ会社のマレーシア店舗で勤務を始めた。その後、店舗のスタッフが不足していることを聞いた兄の賢蔵さんが応援に駆け付けた。賢蔵さんは「知らない土地に行くことに抵抗はなかった」と振り返る。

 賢蔵さんは約2年半、正蔵さんは約3年間、マレーシアのラーメン店で働いた。2人とも「自分の店を持つ」と目標を持ち、その後それぞれ独立した。

 15年2月にマレーシアで「麺屋獅子道」を開業した正蔵さんは現在、6人の従業員を抱える。「生活ができるか不安で眠れない日もたくさんあった。休みを返上し普通の人の2倍働いた」と振り返る。正蔵さんの作る甘みのあるとんこつラーメンは、少しずつファンを獲得していった。重ねた努力が自信になり、今後はカフェ事業にも参入する予定だ。

神里正蔵さんのラーメン店「麺屋獅子道」=マレーシア・クアラルンプール(提供)
マレーシア・クアラルンプールのモントキアラにある神里賢蔵さん経営の飲食店=(提供)

 賢蔵さんはマレーシアやミャンマー、フィリピンなどで懐石料理や焼き鳥など事業を広げる。それでも「得意なのはラーメン。現地の人にもおいしいラーメンを食べてほしい」と昨年12月、フィリピンでは高級食だったラーメンを手頃な値段で提供し、大ヒットさせた。

 賢蔵さんは「国をまたぐと法律も違う。苦しい時もあったけど、毎日勉強になるし、いろんな国の人と働くのは飽きないし楽しい」と笑顔を見せる。「どんな働き方でも自分の軸を決め、自分の仕事を好きになることが大切だ」と語った。

 2人の挑戦は、これからも続く。父親の貞光さん(69)は「息子たちを見ていると『沖縄人』や『日本人』というくくりはないと感じる。よく頑張っているなと思う」と誇らしそうに話した。(半嶺わかな)