「工事見るのつらい」 辺野古護岸着工から1年 区民の胸中複雑 


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辺野古新基地建設の護岸工事着工から1年。護岸が延び、着々と工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸=24日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で、沖縄防衛局が護岸工事に着手してから25日で1年がたった。国は7月にも土砂投入を始め、埋め立て工事を本格化させる方針だ。

 沖縄防衛局に雇われ警戒船を出す辺野古の漁師は言う。「毎日埋め立てられる海を見るのは正直、きつい」「辺野古の海で育った俺たちが一番、この海がきれいだと分かってる」

 辺野古集落の人たちの思いは複雑だ。護岸工事着手から1年、工事は着々と進んでいる。何もなかった大浦湾に七つの護岸が伸び、一つの護岸が完成すると、矢継ぎ早に新しい護岸工事が始まる。現在は「K3」「K4」「N3」の3つの護岸工事が並行して行われている。パワーショベルで砕石を敷き詰める「ガンガン」という音が響き、海に砕石を投下する際は白煙が舞う。

 海の豊かさを生まれたときから知る辺野古の人たちは、この1年間で海が変化したことも分かっている。「こないだ行ったけどもう何も捕れなかったな。(貝などが)捕れるのはみんな、あの囲ってる部分にあるってよ」。フロートが張り巡らされ、もう二度と入れない場所もある。豊かな海が壊れていく様を彼らは見詰めている。

 集落の人たちは辺野古移設について多くを語らない。「どっちみち(基地は)来るんだから」と、心にたまっているものを押し流すように話した。