普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設に関し、埋め立て承認の早期撤回を考える講演会「辺野古・大浦湾への6月土砂投入までに『撤回』を!」(沖縄平和市民連絡会主催)が29日、沖縄県市町村自治会館で開かれた。元愛媛大学教授の本田博利氏らが「県は土砂投入までに埋め立て承認の条件違反に対する撤回をするべきだ」とし、即時撤回を求めた。約200人が来場した。
本田氏は埋め立て承認の「撤回」には(1)留意事項違反などの違法に対する取り消し撤回(2)県民投票に基づく承認の撤回―があると説明。その上で本田氏は今夏にも計画される土砂投入前に(1)の取り消し撤回をすべきとの考え方を示した。山口県岩国基地の沖合移設に伴う埋め立てを巡る訴訟で確定した判決に触れ「民間事業と同様、国も原状回復する義務がある」と指摘。「海殺しが進んでいる。悠長な話をしてはいけない。土砂投入で海の生物が死に絶えれば原状回復はできなくなる」と強調した。
山口県岩国市の田村順玄市議は住民の負担軽減とされていた岩国基地の沖合移設が米軍再編計画に組み込まれて基地機能強化につながった経緯を紹介。「潤沢な防衛予算を地元に投入し、市民の反基地意識を籠絡(ろうらく)した」と指摘した。名護市について、政府が支援した渡具知武豊氏の市長就任や再編交付金約30億円の支給決定に触れ「国は岩国市の事例を手本にする。市民が抵抗できない街にされる。阻止しなくてはならない」と訴えた。
土木技師で沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「土砂投入によって今まで積み重ねてきた違反にさらに上積みされる。県は土砂の投入が確実になった時点で埋め立て承認撤回に踏み切ってほしい」と求めた。