「古里の石使わせない」 海上搬入 続く抗議 本部港塩川


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本部港塩川地区の国道449号沿いで座り込みをする阿波根美奈子さん。名護市辺野古の新基地建設への石材を積んだ大型車が頻繁に行き交い、粉じんが舞う=4月下旬

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設への抗議が続く中、建設で使用される石材の搬出拠点となっている本部町本部港・塩川地区でも、町民らが抗議の座り込みをしている。粉じん舞う中、「古里の石を名護市辺野古の新基地に使わせない」と、港のゲート前で声を上げる。町民らは「辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前が陸路なら、塩川は海路の搬入拠点だ。塩川のゲート前にも多くの人が結集し、建設を阻止してほしい」と呼び掛けた。

 塩川の港は国道449号沿いにあり、周辺は県内でも有数の石材掘削地。4月24日も石材を積んだ大型車が頻繁に往復し、粉じんが舞っていた。1分間立つだけでほこりまみれとなり、目を開けることもままならない。事業者の散水車が道路を洗い流すが、すぐに元に戻る。

本部港・塩川地区に名護市辺野古新基地建設で用いる資材を搬入する大型車。本部町の町民らが抗議した=4月下旬

 塩川での積み出し作業は2017年12月15日に始まった。本部町島ぐるみ会議によると、5月1日までに計46日間の作業を確認した。12月は3日間、1月は6日間、2月は11日間、3月は7日間で、4月は18日間と膨れ上がった。1日最大で車200台弱が運搬しているという。

 同会議の阿波根美奈子さん(65)は、国道沿いに午前7時ごろから半日間座り込む。「辺野古埋立NO」と記されたボードを搬入車に向かって掲げた。ほかのメンバー十数人も港構内の護岸前ゲート前に立ち、のぼりを持って抗議する。メンバーが搬入を防ごうとすると、県警機動隊員が排除した。辺野古のゲート前と同じ光景が塩川の港でも繰り返される。

 阿波根さんは約40年前、結婚を機に夫の出身地・本部町に東京から移った。日本兵だった父親は満州に動員され、シベリアに抑留された。阿波根さん自身は医療従事者として働いてきた。「命を奪う戦争を起こさせず、加害者にならないためにも基地建設を阻止したい。自らできることとして、ここに座る」

 県管理の本部港の使用権限は県から本部町に移譲され、町が新基地建設工事に関する港使用の許可を出した。町島ぐるみ会議は許可の撤回などを町、県に求めてきた。事務局の高垣喜三さん(69)は、国による海上搬送が辺野古埋立承認の「留意事項」に違反していると指摘し、「工事の違法性も見過ごせない。辺野古に運ばせないためにも声を上げたい」と強調し、塩川への結集を訴えた。