政府、透ける「強行隠し」 米朝会談日に土砂投入通知 辺野古移設


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沖縄防衛局の職員(左)は県に、辺野古新基地建設で土砂投入時期の通知書を手渡した=12日、名護市の県北部保健所

 首脳会談による米朝の緊張緩和で、東アジアの平和構築を期待するムードが高まった12日、その流れと逆行するように政府は同日、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けた埋め立て土砂投入を沖縄県に通知した。前日に発生したF15戦闘機の墜落を受けて反基地感情が高まる中でも手続きを前に進めるやり方は、政府の「強硬姿勢」を一層印象付けた。報道が米朝会談一色となるタイミングを見計らってか、この日を通知に選んだことにも印象操作を狙った「強行隠し」の面は否めない。

 中嶋浩一郎沖縄防衛局長はこの日の朝からF15墜落に対する抗議の対応に追われた。地元市町村の首長や県議らは「県民が危険にさらされる重大な事故だ」と怒りをぶつけた。そんな強い抗議を受ける一方で、防衛局は埋め立て開始日を決定していた。

 中嶋局長は、午後には県庁に呼び出され、抗議を受けた。その席で左手に座る謝花喜一郎副知事の方向を見ずに正面をじっと見詰める場面も。

 県議会の会派を回った後、記者に囲まれ、埋め立ての通知について問われた中嶋局長は「今聞かないで。あんなにガンガン言われているのに通知かよ、みたいな」と苦笑した。「プレスリリースを出すと思うのでお待ちを」と述べただけで、その場を足早に立ち去った。中嶋局長が県庁を後にした約1時間後、防衛局職員が県北部保健所に通知を届けた。
(明真南斗)