十七音に平和の願い 「島守忌」季語に俳句大会 最高賞に古波蔵、安里さん


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県知事賞に輝いた古波蔵里子さん(右)と安里恒作さん=日、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館大会議室

 沖縄戦当時の県知事・島田叡氏を追悼し平和を願う第1回「島守忌」俳句大会が17日、糸満市の県平和祈念資料館大会議室で開かれた。主催は島田氏の顕彰事業に取り組む「島田叡氏事跡顕彰期成会」(嘉数昇明会長)。県内外の583人から寄せられた1307句の中から、最高賞の県知事賞に古波蔵里子さん(83)=豊見城市=と興南高校3年の安里恒作さん(17)=与那原町=の作品が選ばれた。

 同大会は、島田氏が行方不明となった6月下旬を「島守忌」と季語に位置付け、作品を募集した。島田氏の出身地の兵庫県と、島田氏と共に住民疎開などに尽力したことで知られる当時の県警察部長・荒井退造氏の出身地の栃木県などからも応募があった。

 古波蔵さんの作品は「島田忌の御霊へ灘の生一本」。兵庫とどう結びつけようか考えていた際、兵庫県の有名な清酒の名が浮かんだ。「あの時代に『生きろ』と言った島田さんの言葉に、戦争に流されない人格がにじみ出ている」と語る古波蔵さん。「句がなぐさめになれば」と願った。

 安里さんの作品は「島田忌や叢雲(むらくも)は雨出しきつて」。安里さんは「読者の解釈に落とし込めるように実景を詠んだ」と振り返り、受賞に笑顔を見せた。

 審査員からは「無駄がなくシンプルで、余白で気持ちを伝えている」と評された。

 受賞式に先立って、沖縄国際大学の石原昌家名誉教授による記念講演も開かれた。石原教授は島田氏と県警察部長の荒井退蔵氏について解説した。約70人が耳を傾けた。

 そのほかの受賞者は以下の通り。
 (敬称略)

【一般の部】
▽糸満市長賞・島谷喜代孝
▽琉球新報社賞・伊波とをる
▽沖縄タイムス社賞・金城幸信
▽期成会会長賞・齋藤ふみ

【高校生の部】
▽糸満市長賞・岸本歩美
▽琉球新報社賞・金城愛那
▽沖縄タイムス社賞・市川静琉
▽期成会会長賞・鯉田つきみ