米軍普天間飛行場の移設による名護市辺野古の新基地建設を巡り、謝花喜一郎副知事は19日、県庁で記者団に対し、辺野古海域への土砂投入前に埋め立て承認を撤回することについて「そういう風に作業している。翁長雄志知事も了としている」と答えた。土砂投入前の撤回方針を県が公に認めたのは初めて。関係者によると、県側は来週中に撤回方針を表明し、撤回に必要な手続きの初段階として「聴聞」の開始を沖縄防衛局に通知する。
辺野古海域では同日、沖縄防衛局が土砂投入を予定する一部区画が護岸でつながり、本格的な埋め立て工事の着手に向けて環境を整えつつある。8月17日にも予定される土砂投入を前に、翁長知事が最大の行政権限である撤回の行使に踏み切ることで、新基地建設阻止を巡る県と国の対立は重要局面に突入する。
謝花副知事は19日、埋め立て承認の即時撤回を求めて県庁前に座り込む3団体の代表者ら約10人と県庁で面談した。面談は非公開で行われ、出席者によると、謝花副知事は土砂投入を「看過できない事態」と位置付け、聴聞に要する期間として「2~3週間」を想定していると説明した。
市民団体側が「県が想定する日程で、土砂投入までに撤回が間に合うのか。防衛局が聴聞を長引かせる可能性はないか」と詰め寄ったところ、謝花副知事は「その可能性も想定した上で弁護士と相談している」と答えたという。サンゴの移殖に必要な特別採捕を沖縄防衛局に許可した対応も追及され、謝花副知事は「承認撤回とは別の話だ」と理解を求めたという。
県は17日に、工事の即時停止を求める行政指導文書を沖縄防衛局に送った。翁長知事は防衛局が工事停止に従わないと判断すれば、埋め立て承認の撤回に踏み切る方針を固めている。
謝花副知事と面談した沖縄大名誉教授の桜井国俊氏は「土砂が投入されたら後戻りできないという認識は県も持っているようだった」と記者団に説明した。