【辺野古問題取材班】石が転がり落ちるたび、水しぶきが上がる。青い海は白く濁り、汚濁防止膜を越えて広がった。19日、新基地建設が進む名護市辺野古の海。市民が「護岸をつなげるな。海を殺すのか」と海上から抗議する中、沖縄防衛局は次々と護岸用の砕石を投下し、辺野古崎先端部の埋め立て区域「2―1」を閉め切り、護岸で包囲した。
沖縄防衛局は19日午前9時すぎ、作業を開始した。辺野古崎の南側、米軍キャンプ・シュワブの対岸となるK4護岸を造成した。午後2時35分、埋め立て区域「2―1」の護岸がつながった。2017年4月の最初の護岸工事着手からおよそ1年3カ月、豊かな海が遮断された。
台風10号接近で強風が吹き、高い波が押し寄せる中、市民は船2隻に乗って抗議した。護岸ではおよそ2分に1回、ダンプカーが砕石を運んでいた。「海を殺すな」「今なら間に合う。作業をやめて」。市民の訴えをかき消すように、ショベルカーが石をたたきつけ、護岸をならす音が響いた。
この日、県は月内にも埋め立て承認撤回に向けた手続きに入る考えを示した。連日、カヌーに乗って抗議する山崎亨さん(49)=名護市=は「本音で言えば遅い」と憤った。護岸で包囲された区域は1年前までカヌーで近づくことができた。「魚や貝が本当にたくさんいる。命を守るためには閉め切らせてはいけなかった」。日に焼けた顔に悔しさをにじませた。
ひときわ大きな声で抗議を続けた20代の女性=名護市=は工事現場を見詰め、唇をかみしめた。「簡単には造らせない」。新基地阻止を改めて誓った。