辺野古、来月中旬に土砂投入 民間桟橋から搬出も 政府、本部港の代替


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 沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、政府は12月中旬に辺野古沿岸部で土砂投入を始める方針を固めた。複数の政府関係者が28日、明らかにした。本部港塩川地区の使用許可が下りずに懸案となっている埋め立て用土砂の搬出は、引き続き本部町を説得する一方、不許可が続く場合は計画とは別の搬出場所を利用することで解決を図る。その場合、関係者によると、名護市安和の琉球セメントの桟橋を検討する。県側が対話の継続を求める中で土砂投入を強行すれば、県内の反発は必至だ。

 県の埋め立て承認撤回に対して国土交通相が執行停止を決め、政府は1日から関連工事を再開した。約1カ月の集中協議期間中も政府は工事を止めず、土砂投入に向けた準備を進めてきた。今後は海中の汚れ拡散を防ぐ「汚濁防止膜」の再設置や、一部施設の修復を半月程度で終え、12月中旬に土砂を投入する運びだ。

 土砂を投入するのは、埋め立て予定海域南側の護岸で囲まれた広さ約6.3ヘクタールの区域。船で運んだ土砂を工事用車両に積み替え、陸から海中に投入する。

 防衛省は、本部港塩川地区から埋め立て用土砂の搬出を計画するが、岸壁の使用許可権限を持つ本部町は「台風被害で港の一部が壊れ、新たな船を受け入れることは不可能」として使用を認めていない。港を管理する県や本部町が方針を変えない限り、3月末の復旧工事終了後まで本部港塩川地区からの搬出は見込めない。

 このため移設を急ぐ政府は、本部港の利用が認められない場合は、名護市安和の桟橋からの搬出を検討する。工事手順を記載した国の申請書には特定の港の名称は明記していないため、県への申請内容とは矛盾しないと判断した。

 一方、沖縄防衛局は「業者が引き続き本部港の使用許可を求めて本部町と協議を続ける。推移を見守る」としており、業者は28日、使用許可の申請書を郵送した。