地盤改良の砂量、11倍に 辺野古 軟弱層70%置き換え 県試算「費用1500億円」


この記事を書いた人 大森 茂夫
埋め立て区域に広がる土砂と延伸工事が進むN4護岸=13日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、大浦湾に広がる軟弱地盤への対応について、政府が地盤改良工事で使用を想定する砂の量が650・9万立方メートルに上ることが分かった。もともと新基地建設計画で使用予定だった砂の量(58万立方メートル)の約11倍に当たる。護岸直下の軟弱地盤に砂のくいを締め固めながら打ち込む「サンドコンパクションパイル工法」で、軟弱層と砂を70%置き換える。砂ぐいの打ち込みに伴って海底面が最大で10メートルほど盛り上がるため、その上に設置する護岸用のケーソン(コンクリート製の箱)を再設計し、高さを変更する必要などが生じる。

 玉城デニー知事は21日の県議会2月定例会で、軟弱地盤の改良工事の規模が明らかになったことを受け、県として当初500億円と試算していた改良工事の費用は1500億円に達するという見立てを示した。照屋大河氏(社民・社大・結)の代表質問に答えた。

 改良工事に要する砂の量は、沖縄防衛局が地盤改良工事について検討した資料中に記載されている。埋め立て承認撤回を巡る審査請求に関連して、県が20日に国土交通省に提出した意見書で指摘した。

 地盤改良工事がなければ、新基地建設で砂を使うのは護岸用のケーソンに詰める58万立方メートルのみだった。防衛局が県に提出した埋め立て承認申請書では「沖縄島周辺から調達する」と記載されている。

 県によると、県内での砂利採取量は2014年度で約122万立方メートル、15年度で139万立方メートル、16年度で184万立方メートル。

 地盤改良に必要な650・9万立方メートルを県内だけで調達しようとすると、3年半~5年ほどかかることになる。

 大型の護岸用ケーソンは当初、幅22メートル高さ24メートル長さ52メートルという設計だったが、地盤改良工事に合わせて高さを14メートルに変更する想定だ。