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国交相、承認撤回を取り消し 辺野古埋め立て 防衛局請求に裁決 県、法的措置へ

埋め立て工事が進む新基地建設現場=3月13日午前11時47分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 【東京】名護市辺野古の新基地建設に伴う県の埋め立て承認撤回を巡り、石井啓一国土交通相は5日、撤回処分を不服とした防衛省沖縄防衛局の審査請求を認め、撤回は違法だとして取り消す裁決を下したと発表した。結果を通知する文書が防衛局に届くとみられる6日にも、埋め立て承認の効力が復活する。県は撤回の有効性を訴えるため国地方係争処理委員会へ改めて審査を申し出ることなどを含め、法的対抗措置を検討する。

 石井国交相は会見で「撤回処分には理由がないと判断した」と述べた。


 裁決について玉城デニー知事は「(埋め立て承認撤回を)取り消されるいわれは全くない。ぶれることなく、県民の強い思いに応えていく」とのコメントを出した。沖縄防衛局の審査請求を国土交通省が審査したことに対し「選手と審判を同じ人物が兼ねているようなものだ。『自作自演』で、結論ありきだ」と批判した。

 県側は撤回理由の一つとして大浦湾側に存在する軟弱地盤を挙げたが、国交省は地盤工学が専門の日下部治東京工業大名誉教授(国際圧入学会会長)へ資料を出し鑑定を依頼した。その結果(1)改良工事の工法選択は適当で実行は可能(2)所要の安定性を確保した埋め立て地の護岸や埋め立て地の施工は可能(3)地盤改良工事に伴う環境影響の増分も概略検討としては適切―との意見を得たという。審査を請求した防衛局の主張の全てが認められたことを理由に、行政不服審査会への諮問も行わなかった。

 裁決が出たことで、一時的に撤回の効果を止めていた国交相の執行停止決定は効力を失い、県が3月22日に提訴した関与取り消し訴訟も事実上無効となる。

 県が取り得る対抗措置は(1)地方自治法に基づいて国地方係争処理委員会に審査を申し出る(2)行政事件訴訟法に基づいて取り消し訴訟を提起する―の二つがある。(1)の場合、知事名で申し出が可能で、裁決後30日以内に手続きが必要。(2)の場合は行政事件訴訟法に基づき6カ月以内に提訴することになり、県議会の議決が必要。県は週明けに裁決書を確認した後、弁護団と対応を協議する。