辺野古軟弱地盤、追加「調査」必要 国依頼鑑定書で指摘


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新基地建設のための埋め立て工事が続く米軍キャンプ・シュワブ沿岸=3月26日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、石井啓一国土交通相が県による埋め立て承認の撤回を取り消した際、現在の施行計画で軟弱地盤の改良が可能だとする根拠として裁決書で引用した専門家の鑑定書に「より密度の高い調査の実施が有益だ」と、計画再検討の必要性に言及した記述があることが8日、分かった。裁決書ではこうした指摘について触れないまま、「地盤改良工事等を行うことにより所用の安定性を確保して工事を行うことが可能だ」とした結論部分のみを記載していた。

 鑑定書に基づけば、より密度の高い調査が実施されなければ詳細な設計に入ることはできないとみられるが、裁決書には追加調査の必要性についての記述はなかった。8日に鑑定書を確認した県関係者は「追加調査が必要だという専門家の指摘があるのに、裁決書では触れていない」と述べ、国にとって都合の悪い部分が意図的に伏せられているとの見方を示した。

 鑑定書を執筆したのは日下部治東京工業大名誉教授。国交省が県の埋め立て承認撤回を審理するために依頼し、3月14日に提出された。同22日に国交省の審理委員の意見が出され、石井国交相が撤回を取り消した。

 鑑定書には「引き続き詳細検討が行われ、断面の修正、地盤調査・土質試験の追加の可能性も含め、『必要があれば前段階に溯(さかのぼ)って再検討を行う』ことは想定されている」「詳細設計で要求される詳細調査では、必要に応じ、より密度の高い地盤調査や土質試験を実施するなどして、より精緻な解析を実施するのが有益と考えられる」など、より詳細な地盤調査が必要だとする日下部氏の見解も盛り込まれていた。