【東京】沖縄県名護市辺野古の新基地建設中止を求める弁護士や作家ら有志一同が25日、国会内で会見し、2月の県民投票で示された「反対」の民意を尊重するよう政府に求める声明を発表した。工事を中止して県と協議するよう訴えている。呼び掛け人25人が今後声明への賛同者を募り、政府に提出する。
声明では、2月の県民投票で「反対」が43万4273票と投票総数の71・7%を占めた結果について「美ら海を破壊される沖縄県民の怒りである」と指摘。その上で、政府が工事を直ちにやめ、県と「真摯(しんし)なる協議」を開始することが「民主主義のあるべき姿だ」と断じた。
2月の県民投票後、作家の柳広司さんが梓澤和幸弁護士(日本ペンクラブ平和委員会委員長)に提案したことがきっかけ。柳さんは「一つの争点に絞った投票結果を現政権が無視し、工事を中断しない。それを黙認することを子どもに説明できないし、そのような社会に対し自分は小説を書いていけない」と動機を語った。
梓澤弁護士は「沖縄のことをわがごとと考え、同じく痛みを共感し、多少の不利益は覚悟しても行動する沖縄県外の人々の存在を顕在化させたい」と強調した。
25日までに集まった賛同者は291人。賛同の希望はメールk.azusawa@azusawa.jpまで。
==辺野古工事中止を求める声明(全文)==
「あられなく 陸から海から辺野古攻む 島中の花 咲き出す怒り」
この短歌は沖縄歌人の玉城寛子氏が「歌誌くれない―辺野古を詠(うた)う」に発表したものだ。
去る2月24日に実施された沖縄の県民投票では投票総数の71・7%(43万4273票)が辺野古の基地建設に反対の意思を明確に示した。
反対票の民意は、在日米軍基地の70%以上を押し付けられ、美ら海を破壊される沖縄県民の怒りの表明である。沖縄県内外を問わず、日本列島に住む私たちが辺野古新基地建設を自らの問題として真摯(しんし)に考えるときが来た。
安倍政権による民意の黙殺、米軍基地を絶対化しての工事の強行が続いている。
政府は辺野古工事を直ちに取りやめ、県民投票に示された民意を尊重するために沖縄県と真摯なる協議を開始すべきである。これが民主主義のあるべき姿である。
2019年4月25日
呼び掛け人(50音順)
アーサー・ビナード(詩人)、梓澤和幸(弁護士)、伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)、内田雅敏(弁護士)、宇都宮健児(元日弁連会長)、大久保奈弥(東京経済大准教授)、大城貞俊(作家)、落合恵子(作家・クレヨンハウス代表)、古関彰一(和光学園理事長)、郷路征記(弁護士)、齋藤芳弘(グラフィックデザイナー、写真家)、阪口徳雄(弁護士)、清水雅彦(日本体育大教授)、杉浦ひとみ(弁護士)、鈴木比佐雄(詩人、評論家、日本ペンクラブ会員)、高良鉄美(琉球大法科大学院名誉教授)、武井由起子(弁護士)、仲山忠克(弁護士)、西村秀樹(ジャーナリスト)、満田夏花(FoEジャパン事務局長)、盛田隆二(作家)、柳広司(小説家)、米倉洋子(弁護士)、渡辺治(一橋大名誉教授)、渡邉彰悟(弁護士)