有料

<インタビュー>「少しでも迷ったら検査受けて」 HIV予防啓発に取り組むベン・コリンズさん


<インタビュー>「少しでも迷ったら検査受けて」 HIV予防啓発に取り組むベン・コリンズさん インタビューに答えるベン・コリンズさん
この記事を書いた人 Avatar photo 吉田 早希

 現在76歳で、40年以上HIVとともに生きてきたベン・コリンズさん。検査アクセス向上に必要なことや、早期発見の重要性などについて聞いた。

(聞き手・吉田早希)

 ―HIVの治療で必要な視点は何か。

 「HIVの有効な治療がなかった時代は、ヨガや瞑想(めいそう)など数多くの民間医療、代替医療が実践研究されていた。1996年にHIVの治療法が確立

され、人々の関心も研究対象も

治療薬に移った。実際私も薬のおかげで状態は良くなった」

 「だが振り返ると、当時の社会的支援がいかに私たちの心の健康を支えていたかを実感する。今、医者は『この薬だけ飲んでいれば大丈夫』と言う。医学的には正しいが、飲み続けるには通院や心の健康を保つための助言や支援が必要だ。医師と研究者、患者、コミュニティーが協働し、包括的に話し合う場が足りていないという課題がある」

 ―検査を受けやすくする上で重要なことは。

 「一つの完璧な解決策はない。だからこそHIV検査も、保健所だけでなくクリニックでも受けられる対面検査、オンライン予約など、さまざまな選択肢を用意することが大切だ」

 ―検査を受けるか悩んでいる人に伝えたいことは。

 「少しでも迷ったら検査を受けてほしい。悶々(もんもん)とする時間は苦しい。自分の健康状態を知ることは、心の健康を保つことにもつながる。海外でも、HIVに対する差別・偏見によって診断の遅れにつながるケースもある」

 「沖縄(日本)のように、海外と比べてHIV陽性者数が少ない地域では、人目が気になり検査を受けづらい場合があると思う。費用はかかるが、場合によっては県外で検査を受けることも一つの選択肢にしてみてほしい。不安があれば、まずは信頼できる友人とHIVや検査のことを話し合ってみてほしい」