子どもの頃から恋愛ドラマが大好きだった私は、恋することに憧れ、友だちと恋バナをするのが楽しみでした。そして恋愛をしたいと思いつつも、どこかしら恋愛をしないといけない、という焦りもあった気がします。
最近では「性の多様性」について耳にすることも多く、同性を好きになるゲイやレズビアン、好きになる性別に縛られないバイセクシャルやパンセクシャル、そして他者に対して性的に引かれないアセクシャルなども知られてきました。漫画やドラマでも取り上げられ、身近に感じます。若い時の私もそれを知っていたらどんなに良かったかな、と思わざるを得ません。恋バナをするのは楽しかったのですが、いろいろな性について知っていたら、私はどうなんだろう? と自分をより見つめ、まわりと自分を比べることも少なかったかもしれません。
3月31日はトランスジェンダー可視化の日です。トランスジェンダーは人口の1%未満と言われ、数が少ないので、存在を身近に感じる機会が少ないかもしれません。もしトランスジェンダーの存在を知らなかったら、自分の性別に違和感があった時、自分がおかしいと感じ、悩み続けるかもしれません。まわりの人からも「今だけのことだよ」「体の性別ではない性があるのは、おかしいことだよ」と言われることで、より孤立させられるかもしれません。どんどん生きづらさを抱え、追い込まれる人がいるでしょう。昨年夏、りゅうちぇるが命を絶ったことも、言葉になりません。
3月29日から4月1日には「トランスジェンダー映画祭2024春」が開催されます。トランスジェンダーにまつわる三つの映画が上映され、その中の一つ「最も危険な年」は、8年前のアメリカのトランスジェンダーバッシングに、親と子どもが立ち向かったドキュメンタリー映画です。残念なことに、今の日本でもトランスジェンダーバッシングが激しくなっています。上映期間の4日間、自分の好きな時間にオンラインで見られるので、ぜひご覧ください。
いろいろな性のあり方、生き方を知ることは、自分らしさを見つめ、自分を大切にすることにつながるでしょう。また、あなたがいろいろな性について知らなかったら、悩んでいる大切な人を傷つけることがあるかもしれません。いろいろな人の幸せを当たり前に守るため、一緒に考えていきませんか?
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。