県ひとり親世帯等実態調査の報告書発表に合わせ、琉球新報が3月30日付で掲載したシングルマザーの苦境に関する記事を読み、浦添市の川満貞夫さん(84)が米40キロを琉球新報社に届けた。戦後の食糧難で自身の母親が苦労していたのを思い出し、役に立ちたいと考えたという。米は記者が仲介し記事で取り上げた女性に届けた。
琉球新報が取り上げたのは5人の子を育てるシングルマザー。元夫とはDV(ドメスティックバイオレンス)や借金で離婚し、養育費は支払われていない。県営住宅に入れず、物価高騰に苦しみ、子どもを優先して自分の夕食を抜くこともあると打ち明けていた。
川満さんは宮古島出身。8人きょうだいで祖父母も同居し、父母と合わせ12人家族だった。戦後は食糧難で主食はイモ。母親は家族の食事を用意した後、自分はこげている部分を食べていたという。「母親が亡くなった時、子どもの頃に苦労させたことを思い出して涙が止まらなかった」と、母への思いを語る。
戦後79年となっても、食べるのに苦労する現状があることにやるせなさを感じ「1人でも2人でも、つらい思いをする人が減ってほしい」と願った。
(稲福政俊)