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40代シングルマザー、夕食抜き「子どもたちに」 県営住宅に3回落選 沖縄県ひとり親実態調査


40代シングルマザー、夕食抜き「子どもたちに」 県営住宅に3回落選 沖縄県ひとり親実態調査
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 物価高騰により社会全体が生活維持への不安感を抱く中、県内のひとり親世帯の約6割以上が苦しい生活環境にあることが県の調査で明らかになった。さまざまな事情でひとり親になって就労や子育てに身を削り、行き詰まる生活の中で「公営住宅に入れれば」「もう少し支援があれば」と願う声は多い。行政による各種支援策の認知度が低い現状も浮き彫りとなっており、調査に関わった識者らは「アウトリーチ的な支援が必要」と強調する。(嘉陽拓也、吉田早希)


 本島南部の40代女性は、県内医療機関で働き、保育園児から中学生の子ども5人を育てる。数年前に転職し、今の手取りは月20万ほど。「残業代も支給されるのでありがたい」と感じる一方、家賃の支払いや物価高騰の影響が生活に重くのしかかる。

 元夫のドメスティックバイオレンス(DV)や借金を理由に離婚した。養育費は支払われていない。4月から中学、高校に上がる子の制服や体育着、小学生の子の学用品購入と出費が重なる。軽度の知的障がいがある子もいて、児童手当と特別児童扶養手当を何とかやりくりする。中古車のローンもあり、貯金は「できて千円」の時もある。

 物価高騰が家計をさらに圧迫する。10キロ単位で購入する米は月3回ほど買い足すが「少しでも多く子どもたちに」と自分の夕食を抜く日もある。

 2020年から居住地域内の県営住宅の入居募集に応募してきた。入居が優遇される「子育て世帯優遇」項目に複数該当するが3回落選。障がい者の優遇を含む「その他優遇」もあるが、知的障がいは重度または中度が対象で「なぜ軽度は対象外なのか」と疑問もある。

 今住む3DKのアパートは家賃月6万円。県営住宅だと月3~4万円ほど抑えられる見込みで「家賃をできるだけ圧縮して子どもの習い事や部活、学用品などに充てたい」と考えている。

 女性は、より多くの人が入居できる施設整備や抽選方法の必要性を訴える。「認可保育園の入園時のように点数化する仕組みも検討してほしい。落選した世帯への家賃補助など支援があるとありがたい」と語った。