物価高騰中に実施された県ひとり親世帯実態調査では、世帯の年間総収入が300万円以上とした割合が増え、「貯金はない」とした回答が減少するなど改善した側面もある。ただ、各世帯で年間総収入が100万円未満とした回答は前回調査からやや増えており、ひとり親世帯の中でもより厳しい状況にある存在も浮き彫りとなった。
沖縄大の島村聡教授によると、支援制度を活用する知識や能力がある人は安定した正規職に就いて所得増に結びつきやすい一方、困窮世帯で精神的問題などを抱えた場合、支援制度にたどり着かず生活環境が低下していく可能性がある。60歳以上が多い寡婦・養育者世帯では就労による収入増は容易ではない。
こうした現状から、自治体に「各種年金や手当の充実」を求める回答が多い一方、行政などによる給付金や貸付金などの「制度を知らない」とする回答も目立つなど、支援策の周知不足も浮き彫りとなっている。
貧困問題は自助で乗り越えるには壁が高く、「ヤングケアラー」などの問題にも派生する可能性もある。
次の世代に持ち越さないためにも、施策の周知や窓口の充実、支援団体との連携などを強化する必要がある。
(嘉陽拓也)