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米統治 広報誌「守礼の光」から探る 古波蔵契さん、川崎で講演 周辺国の脅威あおり正当化


米統治 広報誌「守礼の光」から探る 古波蔵契さん、川崎で講演 周辺国の脅威あおり正当化 「守礼の光」を読み解くをテーマに古波蔵契さんが話した講演会=20日、川崎市平和館
この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学

 【神奈川】沖縄戦と戦後の米統治をテーマにした特別展(川崎市主催)が20日、川崎市平和館で始まった。8月25日まで。初日は明治学院大学社会学部の研究員、古波蔵契さんが講演し沖縄の統治ため米軍が発行した広報宣伝誌「守礼の光」を通して見える占領者の意図を読み解いた。

 古波蔵さんは1956年の島ぐるみ闘争を境に米軍の統治方針が転換しプロパガンダ誌「守礼の光」が時期を同じく発行された点などを説明。沖縄版の経済成長の創出や自由で民主的な労働運動の育成、琉米親善の鼓舞など、沖縄を統治する上で推し進めた近代化の「プロセスを記録した雑誌」と指摘した。

 古波蔵さんは、沖縄を取り巻く周辺国の「外部的脅威をあおって、その警備のためにいるとして統治を正当化した。一方で自由民権運動家の謝花昇らも登場させて自由主義といったイデオロギー的な価値を共有することなども掲載した」と話し、硬軟の懐柔策を交えた米国の統治手法を振り返った。

 また同誌には労働者もよく登場し勤勉を奨励した一方で、別の意図もあったと史料を紹介。「基地に対する脅威を軽減するために労働者の協力を得るのが最も効果的かつ安上がりとの見方もしていた」と米の対沖政策を指摘した。

 20日から始まった特別展は、図解や絵、写真を通して沖縄戦の実相を伝える。また実際の「守礼の光」の誌面から戦後沖縄の米統治時代も概観できる。

 (斎藤学)