「いぼ」と言うと、みなさんどういったものを想像されるでしょうか? 辞書によると、いぼとは、皮膚の一部が盛り上がってできる「できもの」のことを指す、とあります。ですが、皮膚科で言う「いぼ」は主にウイルス感染で発症する疣贅(ゆうぜい)を指すことが多いです。
(1)尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい) ヒトパピローマウイルス感染によるいぼで、子どもの手足に多いです。治療は液体窒素を綿棒に含ませて当てる凍結療法が一般的ですが、痛みを伴い、1~2週間に1回処置するため治療に時間がかかります。
(2)青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい) 若い女性の顔に多く見られます。凍結療法が有効ですが、炎症後色素沈着をきたすため、漢方薬による免疫療法を選択することが多いです。
(3)伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)(水いぼ) ポックスウイルス感染が原因で、全身にできます。子どもに多く、皮膚同士の接触やタオルなどを介して感染します。アトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が低下している人や、免疫不全のある大人でも見られます。治療は特殊なピンセットでつまんで取るのが一般的ですが、痛みを伴うため麻酔のテープ剤を貼ってから行います。液体窒素で治療することもあります。
自然治癒すると言われていますが、数がどんどん増えていったり、プールを制限されたりすることもあるため、治療はご家庭で話し合って決めるのが良いと思われます。
(4)尖圭(せんけい)コンジローマ 性器や肛門の周囲にできるいぼで、性感染症のひとつです。治療は液体窒素による凍結療法や炭酸ガスレーザー、外用療法があります。パートナーも一緒に治療を受けることが大切です。
ウイルスが原因ではないいぼとしては、脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)(老人性いぼ)があります。老化や紫外線の影響が原因で顔や腕に多いです。治療の必要はありませんが、気になる場合は、凍結療法や外科治療などで治療できます。
「いぼ」と言っても多種多様です。ニキビや粉瘤(ふんりゅう)(トーフヌカシー)、皮膚腫瘍との区別が紛らわしいものもあります。いぼかどうかわからず悩んでいる場合は、一度医師に相談してみてください。
(平良真希子、こくば皮フ科 皮膚科)