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桜、沖縄の各地で狂い咲き、なぜ? 見えてきた「ホルモン」と「台風」の影響


桜、沖縄の各地で狂い咲き、なぜ? 見えてきた「ホルモン」と「台風」の影響 白色のヒカンザクラの花を眺める名護さくらの会の儀保充会長=7日、名護市大東
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 通常、12月から2月頃にかけて開花するヒカンザクラに異変が起きている。8月下旬以降、読者から琉球新報に「桜の花が咲いている」という情報が相次いで寄せられた。咲いている場所は那覇市やうるま市、名護市など広範囲だ。植物の専門家や関係者に要因を聞くと、台風の影響が浮かび上がった。

 毎年1月にさくら祭りが開かれる名護市の幸地川沿いを訪れると、2本の木が桃色の花を付けていた。1本には白い花が2~3輪混ざっている。名護さくらの会の儀保充会長が開花を確認したのは8月28日頃。「赤い花を咲かせる木から白い花が咲くのは珍しい」とにっこり笑う。記者が今月7日に訪れた際、花の一部は強い日差しでしなびていた。

 儀保会長によると、ヒカンザクラは個体差があり、秋と冬の2回咲く場合もあるという。

 沖縄美ら島財団総合研究所植物研究室の佐藤裕之主任研究員によると、本部町にある熱帯ドリームセンターにも、季節外れに花が咲く「狂い咲き」の情報が届いている。狂い咲きには植物ホルモンが影響しており、本州で咲くソメイヨシノでも同様の現象がみられるという。葉っぱから供給される植物ホルモンには花芽を休ませ冬場に咲くよう促す作用があるが、台風6号の影響で葉が飛ばされてしまい、冬を待たずに開花したとみられる。

 かつて県森林資源研究センターに勤務し、現在は県緑化推進委員会の常務理事を務める生沢均さんも台風6号の影響を指摘する。冬に向けて花芽をつくり、休眠するタイミングで台風6号が直撃し、さらに被害が大きかったことで「今年は異常に多い」と語った。

 (武井悠、慶田城七瀬)

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