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しまくとぅばの翻訳システムを開発 約7万語登録し、日本語と相互変換 クレスト(嘉手納町)が学習用に作成


しまくとぅばの翻訳システムを開発 約7万語登録し、日本語と相互変換 クレスト(嘉手納町)が学習用に作成 しまくとぅばを学習するシステムを開発したクレストの池原稔社長(左)とITソリューション2課の祖堅郁也さん=8日、嘉手納町の同社
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【嘉手納】9月18日は「しまくとぅばの日」。沖縄文化の基層であるしまくとぅばの継承にさまざまな取り組みが進められている。医療事務支援のシステム開発・販売などを手掛けるクレスト(嘉手納町)がこのほど、オープンソースの学習支援システム「ムードル」を活用し、日本語と琉球諸語を翻訳できるシステムを作った。

 社長の池原稔さん(73)は、しまくとぅば連絡協議会の前会長でもある。しまくとぅば教育や継承の必要性が指摘されるものの、現状は教員世代もほとんどしまくとぅばを使いこなせる人がいなくなったため、ITを活用して誰でも簡単に学べる仕組みづくりを目指す。

 システムの基礎になっているのは池原さんが7年間をかけて蓄積してきたデータ。約7万語の名詞、動詞、形容詞、形容動詞などをインプットした。沖縄島中南部、北部、宮古、八重山、与那国の5地域の琉球諸語に対応している。

 日本語と単語だけでなく、文章全体の文法も学べる仕組みになっている。池原さんは「例えば動詞でも、終止形と連体形で音(読み方)が変わってくるといった独特の文法も反映させている」と特徴を説明する。

 システムは日本語と沖縄語を相互に変換する「辞書」に加え、例題文として国語の教科書に掲載されている文章、しまくとぅばなぞなぞ、「元気が出る言葉」や「笑い話」など多彩なメニューを使って楽しく学べる。

 パソコンにソフトをインストールする必要はなく、IDとパスワードを使ってブラウザーでログインすれば使える。

 池原さんは2009年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)が琉球諸語を「消滅の危機にある言語」に認定したことを機に、その保存・継承に力を入れてきた。一方、「教育現場でしまくとぅばを学んでもらおうにも実際、作業が多ければ教員の負担も大きく、本腰を入れるのは難しい」と指摘する。「子どもたちが自分で使って覚えるのが一番身に付く。ITはそれを助ける」と強調した。問い合わせはクレスト電話098(957)1119。 (島袋良太)