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従軍記章と師範学校のメダル 真壁政勇さん(中) 戦場の落とし物<読者と刻む沖縄戦>


従軍記章と師範学校のメダル 真壁政勇さん(中) 戦場の落とし物<読者と刻む沖縄戦> 従軍記章と沖縄県師範学校校友会のメダル
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 真壁政勇さん(79)=糸満市=の手元にある「戦場の落とし物」はほかにもあります。2枚のメダルです。

 一つは円形で、表面には菊紋と桐紋、2本の旭日旗が交差して描かれています。裏面には「明治卅七八年戦役」の文字が刻まれています。

 このメダルは、国が日露戦争に参加した兵士を顕彰する「従軍記章」です。1906年に作られました。日露戦争には沖縄から約3800人が参加し、205人が亡くなっています。

 もう一つのメダルは四角形。表面にグラウンドを駆ける走者が描かれ、左下に「陸」の文字があります。裏面には「沖縄県師範学校校友会」の文字と「2597」の数字があります。これが「神武天皇即位」に始まる「皇紀」年であれば2597年は西暦1937年になります。

 この年、日中戦争の発端となる盧溝橋事件が起きます。10月の「国民精神総動員強調週間」には「愛国強化日」「勤労奉仕日」などが設定されました。師範学校の生徒は12月の「南京陥落」を祝う提灯(ちょうちん)行列に参加します。戦時体制の強化が進みます。

 師範学校男子部の生徒が「鉄血勤皇師範隊」として戦場に動員されるのは、その8年後のことです。


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