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沖縄の「平和の心」舞に込め 移住先ドイツで公演、洌鎌さん 防空壕跡の美術館でも


沖縄の「平和の心」舞に込め 移住先ドイツで公演、洌鎌さん 防空壕跡の美術館でも ベルリンの美術館「ザ・フォイエルレコレクション」で踊る洌鎌利好さん=10月11日、ドイツベルリン(洌鎌さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 琉球舞踊家で歌三線奏者の洌鎌利好(すがま・りこ)さん(32)は、移住先のドイツを拠点にヨーロッパの各地で琉球古典芸能の公演を開いている。今年は防空壕跡を美術館にしたベルリンの「ザ・フォイエルレコレクション」で公演を5回開催した。「沖縄の人の平和の心を琉舞を通して伝えたい」と意気込む。

 那覇市出身の洌鎌さんは幼少期から、宮城恵子琉舞道場で研さんを積んだ。結婚を機に2019年にドイツのベルリンに移住した。知人からの紹介で三線クラブの講師をしたことをきっかけに琉球芸能の公演依頼が舞い込んできた。

 同時に洌鎌さんに影響を与えたのは、美術館「ザ・フォイエルレコレクション」との出合い。第二次世界大戦時の情報通信壕を改装した、美術コレクターのデジレ・フォイエルレの私設美術館だ。音響や照明までこだわる芸術性の高い場所に洌鎌さんは「入った瞬間に涙が出た。ここで踊らないといけないと思った」。美術館の案内員として就職し、琉球芸能の公演が実現したのは3月のこと。約200人の観客を前に踊った。「先人から伝承されたものを伝えようと、自分を追い込んで踊った。琉球の芸能が認められたことがうれしかった」と振り返った。

洌鎌利好さん(提供)

 5~6月には、所属する道場の舞踊団「飛琉HARU」を招聘(しょうへい)し、ベルリンやチェコ・プラハで公演を開催。今年夏にオランダで開催された現代美術家のイケムラレイコさんの展覧会では、自然や動物に着想を得た作品を舞踊と歌で表現した。

 洌鎌さんが伝えたいのは琉球芸能だけではなく「琉球の精神性」だ。「沖縄には近隣諸国の文化を平和的に融合させたり、戦争などの苦しみを踊って歌って乗り越えたりした歴史がある」と語る。「平和や地球環境を守ることにつながる琉球の心を琉舞や歌三線を通して世界に発信したい」。それは、沖縄の道場の子どもたちの未来にもつながると信じている。「私の活動が子どもたちの選択肢を広げることになればうれしい」と笑顔を見せた。
 (田吹遥子)