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再建のめど立たず… 台湾「琉球ウミンチュの像」撤去 崩落の危険、地元でも一時話題に


再建のめど立たず… 台湾「琉球ウミンチュの像」撤去 崩落の危険、地元でも一時話題に 劣化により撤去された「琉球漁民慰霊碑」=14日、台湾基隆市の和平島公園(ウチナー民間大使陳保佑さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 呉俐君

 台湾北部の基隆にある和平島公園内に設置されていた「琉球漁民慰霊碑(琉球ウミンチュの像)」が撤去されたことが20日までに分かった。風化による劣化が進み、公園管理者は来場者の安全のため、撤去を決めた。

 今年に入り、県議会の赤嶺昇議長ら県議一行がウミンチュの像を視察したほか、基隆市の邱佩琳(チョペイリン)副市長が来沖した際に照屋義実副知事と修繕について面談した。だが、修繕や再建のめどが立っていなかった。

 同公園内で沖縄関係イベントを毎年開催するウチナー民間大使の陳保佑(チェンバァオヨー)さんによると、2018年ごろから像にひびが入り始め、撤去される前まで左足がない状態だった。観光客から崩落の危険性が公園管理者に寄せられ、台湾でも一時話題になっていたという。

 陳さんは「沖縄や台湾の関係機関に再建の必要性を訴えてきたが、(双方から)議論の場を設けるまでに至っていなかった」と残念がった。

 慰霊碑は、1900年頃の戦前、沖縄から移り住み、現地で亡くなった沖縄の人を慰めるため、2011年に台湾人有志の「琉球ウミンチュの像建立期成会」が建てた。期成会は翌年解散した。再建には資金が課題となっている。当時、沖縄のウミンチュは台湾の人たちに漁業技術や共助の精神を伝えたが、日本の敗戦とともに沖縄人集落は消えたという。(呉俐君)

壊れる前の「琉球漁民慰霊碑(琉球ウミンチュの像)」(ウチナー民間大使陳保佑さん提供)