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壕の狭さ、白杖や耳で実感 視覚に障害ある生徒たちが沖縄戦学ぶ ガイド座波さん「身近なことから平和、現地体験が大事」


壕の狭さ、白杖や耳で実感 視覚に障害ある生徒たちが沖縄戦学ぶ ガイド座波さん「身近なことから平和、現地体験が大事」 平和への思いを生徒に語る座波次明さん=23日、南風原町の南風原文化センター
この記事を書いた人 Avatar photo 武井 悠

 筑波大学付属視覚特別支援学校は2001年に修学旅行で初めて沖縄を訪れた。行き先は年によって異なるが、沖縄を訪れる際は必ず平和学習を盛り込んで戦争を学び、平和についての考えを深めている。

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 生徒の案内は12年以降、元特別支援学校教員の座波次明さん(76)=南城市=が務めている。座波さんは県内の特別支援学校で34年勤務し、戦跡や琉歌の歌碑巡りのガイドを40年以上務めてきた。教員時代に担当校の生徒を連れて戦跡を巡り、壕にも入ったほか、同校以外にも他県の盲学校を案内した。一方で他県の生徒は「危ないので壕には入らないでおこうとなった」と語る。

白杖を手に、「飯あげの道」を歩く筑波大学附属視覚特別支援学校の生徒ら=23日、南風原町喜屋武(小川昌宏撮影)

 筑波大付属は修学旅行前に必ず座波さんと戦跡を事前調査し、壕の安全面などを確認する。読谷村のシムクガマなどに入ったこともあるが、15年ごろからは白杖や耳を使って狭さをより実感できる前川民間防空壕群に毎回入っている。壕以外にも沖縄戦を象徴する場所として糸満市荒崎海岸に建立された「ひめゆり学徒隊散華の跡」の碑を訪れることもあり、座波さんが当時の状況を説明すると、生徒が「ごつごつしていて海も近くとても怖い場所だ」と話したこともあるという。

白杖を手に、沖縄陸軍病院南風原壕群20号の内部を見て回る筑波大学附属視覚特別支援学校の生徒ら=23日、南風原町喜屋武(小川昌宏撮影)

 座波さんは今回の引率で、平和の礎に姉2人と祖母が刻銘されていることを明かし「顔を見たことはないが、刻銘された名前に涙を流した」と完成当時を振り返った。生徒らに対し「友だちをいたわるなど、身近なことから平和はつながる。現地に行って見聞し、考えることが大事だ」と語りかけた。

 同校の関係者によると、諸経費の値上がりで来年度以降の沖縄への修学旅行は「かなり厳しい」という。

 (武井悠)

南風原文化センターで、弾丸が貫通した水筒を触れて確かめる筑波大学附属視覚特別支援学校の生徒たち=23日、南風原町喜屋武(小川昌宏撮影)